ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2004年11・12月号 > 公共育成牧場に関する意識調査の概要について |
はじめに
現在公共育成牧場の経営状態は非常に厳しいと言わざるを得ませんが,公共育成牧場は貴重な資産であり,有効活用を図ることが重要です。そこで,平成16年冬,おかやま酪農協組合員(約600戸)に対し,公共育成牧場に関する意識調査を行ったので,その概要を報告します。(回答数179戸)
ある……59% ない……41%
「その他」の主な内容
・少数経営なので利用できない
・自家受精をするため預けられない
・北海道へ預託している
・牧場の飼養技術に対する不信感
「適当な牧場を知らない」「預けたいが,その方法が分からない」を合計すると24%にもなり,潜在的需要はあると思われる。
予定あり…48% 予定無し…25%
分からない…22% 無回答…5%
また,預託増頭希望数を自由回答で記入したもらったところ,総計で年270頭だった。
回答農家の現在の総預託頭数は年447頭。
「その他」の主な内容
・自家育成をできる設備を整えた。
・牧場の技術レベルに対する不信感(初産月齢が遅かった等)
・牛舎に慣れにくく事故が多い。
・利用していた公共牧場が閉鎖した為
@コストについて
○預託料の値下げ
北海道からの導入牛が高止まりしている
現状からすると,多くは現状でも経済的メリットは十分あるが,理解されていない。
一方で,次のような意見も。
○多少コストが上がっても,北海道に負けない牛の育成を望む。
A安心して預けられる仕組みについて
○事故時の保証
○種付けが遅れた場合の費用負担
○「預託」でなく,買取方式に
B公共牧場の技術や意識について
○牛の仕上がり状態を良くする。(病気に対する十分な配慮を行う,えさの食い込みを良くする,体型を良くする等)
○牧場側の技術の研鑽,意識改革が必要。
○放牧の活用
○ET技術への対応
○下牧後ストールに慣れやすい飼育
○各牧場に関する基本的な情報の提供
○入牧までの管理に対する指導
○北海道が競争相手であることの自覚
数字に基づいた管理,個々の特徴・預託方法等を周知する等の営業努力,発育状況・疾病情報等も含めたデータの開示が必要。
Cその他
○さらなる集約化
○農協の関与を強める。(牧場の管理を請け負う,預託希望のとりまとめ等)
○観光資源としての活用
○生乳生産やF1若齢肥育による収益UP
今回の調査結果により,農家の,公共育成牧場に対する潜在的需要は低くないということが分かりました。今後,各公共育成牧場独自の取組を活発化させるのはもちろんのこと,各組織が協力しあって啓発活動を行ったり,よりよいサービスを提供できるように,アイデアを出し合って行く必要があると思われます。