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笠岡市 竹信博巳さん
全国草地畜産コンクールで農林水産省生産局長賞を受賞

 社団法人日本草地畜産協会主催の平成15年度全国草地畜産コンクール表彰式が6月24日東京都港区赤坂の石垣記念ホールで開催され,笠岡市カブト中央町の竹信博巳さんが農林水産省生産局長を受賞されました。
 竹信さんは岡山県畜産協会主催の平成15年度岡山県草地畜産コンクールの岡山県代表として推薦されたもので,全国各地から推薦された事例の中から書類審査,現地審査を経ての受賞となりました。
 当コンクールの審査の視点は@自給飼料の効率的な生産・利用,A環境に調和した持続的な生産・経営技術の合理性,B生産物の品質・健全性,C目標所得の達成度,D経営方式の持続性などのほか生活の「ゆとり創出」や「地域への波及性」等を考慮して評価されています。
 竹信さんは笠岡湾干拓地へ平成6年に牧場を移転され,現在,親子2世代夫婦の他7名の従業員を雇用し,経産牛200頭,育成牛・子牛を含めると約300頭を飼育する企業経営で,飼料作物はアルファルファ5ha,トウモロコシは19haで二期作栽培に取り組まれ,収益性の高い経営を実践されています。
 竹信さんが評価された経営や技術面での取り組みは以下のとおりです。

1)自給飼料の効率的生産と利用

 干拓地では塩害の影響で出来ないとされていたトウモロコシの栽培にいち早く取り組み,現在では二期作栽培をされ,TDN1s当たり生産費は22円と低コストである。
 また,干拓地特有のアルカリ土壌を生かしたアルファルファ栽培でも高い収量を上げたが,昨年から飼料畑への堆肥還元を考慮してトウモロコシ二期作に切り替えている。
 さらに,干拓地内の粗飼料供給基地の牧草生産にも係わり,飼料TDN自給率は34.1%と高くなっている。

2)高泌乳牛の飼養による高収益性

 給与する粗飼料は分析し,その結果を基に飼料設計を行い,成分が変わると設計を随時変更するなど,飼養管理技術は高く,個体乳量は9,930sに達している。

3)持続的農業の実践と環境美化

 フリーストール牛舎から搬出された糞尿は,ビニールハウスで乾燥し,最終的には発酵堆肥舎で堆肥化している。堆肥は一部販売したり,戻し堆肥として利用しているが,ほぼ全量トウモロコシ栽培に利用している。
 また,敷地内に花の植栽,牛舎周囲には芝を張り巡らすなど畜舎周辺の環境整備に力を入れている。

4)ゆとり酪農の実践

 ゆとりある酪農経営を実現するために月休6日を基本とする柔軟な休暇制度を取り入れゆとり創出にも配慮している。従業員は相互に休暇日を調整し,連休を取得することができることから勤務年数も長くなり,作業の質の向上につながっている。
 審査に当たった萬田富治審査委員長は,竹信さんの経営について,「高品質自給飼料生産を基盤にした大型企業酪農経営を築き,土地資源を活用した21世紀酪農の模範となる経営内容である。」と評価されました。