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〔普及の現場から〕

カウコンフォートの取り組み(津山管内編)

津山農業改良普及センター  石川 和人

はじめに

 ここ数年来,乳牛の生産性を向上させるために,現場ではカウコンフォート(牛の快適性)への取り組みが盛んになっています。
 畜産だよりにおいても,本年度3月号に飼槽改善の取り組みについて(岡山農業改良普及センター),6月号にカウコンフォートの基本的な考え方について(岡山県総合畜産センター)紹介されています。当普及センターでは,これまでカウコンフォート支援として@牛床A飲み水B繋留方法C飼槽D換気(暑熱対策)にポイントを置いて支援を行ってきました。今回は牛床,飲み水,繋留方法の改善への取り組みについて紹介します。

(1) 牛 床

 ポイントは清潔さ,柔らかさ,滑りにくさです。津山地域では5種類のゴムマットが主流になっています。
 いずれのマットも一長一短がありますが,コンクリート牛床や硬化した1.5p厚ゴムマットに比べれば断然快適です。価格は17千円〜22千円(工賃込み)が相場となっています。

(改善後)

 牛の行動調査結果から,マット設置の効果として,快適性を示す「横臥しての反芻」の時間が多くなり,寝起きの回数も増加しました。

(注意点)

 いずれのマットも縦,横方向ともに伸びやすく,マットの切断,アンカーボルトの締め直しなどのメンテナンスが必要です。
 また,蹄が良く伸びるので定期的な削蹄が必要(年2回以上)となります。削蹄師に定期的に削蹄してもらうと良いでしょう。

○スーパーグリーンマット

 軽くて,容易に切断できるので加工しやすいですが,伸びやすく,凹みやすい傾向があります。1枚約20s

○ボビレックス

 軽く,滑りにくい。施工も比較的簡単ですが,サイドバーが邪魔になる場合があります。牛床幅が狭く,スペースがとれない牛床では,臀部側のバーを外すと良いでしょう。

○ウェーブマット

 形状の工夫により,弾力性を確保していますが,重量が約70s近くあります。

○CSカウマット

 ウェーブマットに似ていますが,マット裏の飼槽側に飼料が入り込まないように一工夫しています。天然合成ゴムを使用しています。
 約77sとマットの中で最も重い部類に入ります。

○パスチャーマット

 弾力性,滑りにくさはダントツですが,施工にやや手間がかかり,へこみやめくれなどが起きやすいためマットの下に飼料などが入り込まないように,アンカーボルトを締め直すなどメンテナンスが必要です。

(2) 飲み水

 飲み水は,牛が飲みたいときにどれだけ新鮮で,豊富な水(4g/20sec以上)を供給できるかがポイントです。
 今回改善を行った農家では,サイフォン式の水槽で,吐水量が少なく(2.0g/20sec以下),一頭の牛が水を飲み始めると水位が下がる(逆流も)ことが多く,また汚れやすく,飼料が腐敗しやすいという問題を抱えていました。
 そこで,連続水槽かウォーターカップか,畜主と相談し,高吐水量ステンレスウォーターカップを選択しました。

(改善後)

 吐水量が大幅に改善されました(約5.0g/20sec)。主配管をφ50oとし,吸排気弁と減圧弁を設置したことから,主配管に貯水性の機能を持たせ,十分な給水量が確保できました。ウォーターカップ設置により,飼料の腐敗,よごれの心配が少なくなりました。

○サイフォン式水槽 

 飼料が腐敗しやすく,掃除に手間がかかります。

○高吐出量ウォーターカップ

(設置上のポイント)

・牛の水遊びを避けるため,ウォーターカップの高さを54pに設置(飼槽から吐水口までの高さ)しました。
・配管はループとし,主配管はφ50oと貯水性を持たせました。
・吐水量を確保するため,吸排気弁と減圧弁を設置しました。
・今回は2頭に1個の割合でウォーターカップを設置しましたが,将来,1頭に1個のウォーターカップを設置できるように,配管を加工しました。

(3) 繋留方法

 乳牛は自然の状態では,繋留されることなく自由に行動をします。牛舎内で繋留することにより様々な制約を受けることになります。快適な繋留をするためには牛の寝起き行動を理解し,その方法や施設の状況について十分な検討が必要となります。
 今回,4つの改善策を施しました。
 @ません棒から,ニューヨークタイストールへ変更しました。
 A仕切り板を設置しました。
 Bカウトレーナーの設置を行いました。

(改善後)

 牛床マットと,ニューヨークタイストールへの変更によりヘッドスペースが確保され,寝起きが楽になりました。
 カウトレーナーの効果により,排便コントロールが可能となり,牛床の汚れが少なくなりました。
 繋留鎖も一本鎖に変更しました。
 仕切り板を設置することにより,飼料のかき込みを防止し,給与飼料の摂取量の把握が可能となりました。

(設置上のポイント)

・カウトレーナーは前後,上下可動式とし,牛の大きさに合わせて微調整を行いました。
・仕切り板は高さ10〜25pとし,牛にあわせて調整を行うとともに面取りを行いました。
・マットより先にカウトレーナーを設置すると,電流が牛体を流れ,牛が驚き暴れます。

○ニューヨークタイストール

○飼料かき込み量の違い

○カウトレーナー

まとめ

 乳量,乳質の改善効果については,現在経過を見守っているところですが,農家の実感から効果が期待されます。
 カウコンフォートは,改善5項目について同時に改善を行うことがポイントとなっていますが,経費の問題等から一度に改善することが難しいと思われます。カウコンフォートを実践する場合,畜主がカウコンフォートを十分に理解し,牛の行動を観察することで,改善の優先順位を十分検討し,改善に取りかかることが成功への鍵となります。

○設置費用