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生乳の氷点検査について

社団法人岡山県畜産協会 生乳検査部

1.生乳の氷点について

 水の氷結点は0℃ですが,牛乳中には蛋白質,乳糖,塩素やリン酸塩などの水溶成分が含まれるためいくぶん低い測定値を示します。生乳検査部では,平成13年度から氷点が測定できる MilkoScan4200uw を導入して,全酪農家のバルク乳を2回/月測定しており,岡山県で生産される生乳の平均値は−0.525±0.005℃と考えます。
 正常な生乳に水が混入すれば,測定値が低下し(−0.510とか−0.490℃)逆に水以外の異物が混入すれば測定値が上昇します(−0.550とか−0.615℃)。生乳で測定される氷点は乳牛の生理的活動域を示すもので,−0.525±0.005℃を大きく下回ったり上昇した場合,何らかの異常乳と考えられます。異常乳については MilkoScan4200uw は非常に敏感に検知しますので,氷点の測定については,器機の精度管理について,細心の注意を払って実施しています。

2.MilkoScan4200uw による氷点測定値の精度管理について

 MilkoScan4200uw の氷点測定精度管理については,つぎの3項目について実施しています。
 @2ヶ月に一回の校正
 A毎日のパイロットサンプルによる Scan 測定値の確認
 B一ヶ月に1回の任意バルク乳による基準換算値と Scan 測定値の検証
 MilkoScan4200uw の氷点校正は,偶数月に実施しています。任意のバルク乳60検体(H=40,J=20検体)について,AdvancedOsmometer 3CU(Osmometer)の浸透圧より求めた換算氷点を基準値として校正を実施します。
 しかし,任意バルク乳だけの測定値による検量線では,満足な直線性が得られないので,通常測定値前後の氷点について検証する必要が生じました。
 通常測定値前後の氷点検証の材料として,強化サンプル各3本と原乳4本の検査結果のグラフを示しておきます。10本の測定値結果についての,近似直線はy=0.9053x+0.0511,R2=0.9975と満足のいく結果でありました。この検証結果から,2ヶ月に一回の校正においても強化サンプルを追加することにより高速測定器としての MilkoScan4200uw による氷点測定成績は十分に信頼できることを確認しています。

 毎日のパイロットサンプルによる Scan 測定値の確認は,MilkoScan4200uw の運用の基本としての,LL牛乳の氷点測定値と当検査部で作成したパイロットサンプルの平均測定値(1サンプル3回連続測定*3〜4本)及び作成時に測定した浸透圧換算氷点の3測定値を記録し,全体の推移を注視しています。検査日により測定値に変化はおこりえますが,変動が許容範囲内かどうかが最も重要と考えます。3測定点が著しく乖離するようであれば早急に対応する必要があります。

 MilkoScan の測定精度を検証するために,酪農家の任意バルク乳30本程度と強化サンプル6本を加えて AdvancedOsmometer3CUによる氷点換算値と MilkoScan4200uw の氷点測定値の相関を求め,高速測定機器である MilkoScan の精度維持の担保としています。16年7月1日に実施した MilkoScan4200uw 氷点測定値検証の結果を示しておきました。

3.氷点測定値には,様々な要因が関与していることが知られています。即ち,季節要因,牛群の分娩状況,産歴構成,給与飼料,飼育管理等であります。過去の経験から個体により生理的に氷点の高い生乳を産乳することがあり,そのような個体の割合によりバルク乳の氷点は大きく左右されます。
  氷点測定値に関与する各種要因を詳細に分析し,「総合的な結果」としての氷点測定値を慎重に判断することが必要と考えます。
  高速測定機器である MilkoScan の精度を維持し,地域の氷点はどのように変動していくかを日々の検査デ−タの蓄積により把握することも重要と考えます。
  今後とも,生乳検査機器の精度管理に細心の注意を払い関係各位の信頼確保に努めていきますので種々ご指導をお願い致します。