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〔家畜保健衛生所のページ〕

ヨーネ病対策
─ 発生農場の調査から ─

井笠家畜保健衛生所

 ヨーネ病は牛の監視伝染病の中で最も殺処分頭数が多く農家への負担や経済的な損失が大きく、畜産経営にとって重要な課題となっています。岡山県では、14年から全頭検査を開始したこともあり、年間70頭を超える発生が続いている状況です。そこで、井笠家保管内のヨーネ病発生農場について疫学調査(導入状況、初乳給与状況、繁殖状況、親子関係での発生の有無)を行った結果をもとに、その対策について紹介します。

<発生農場の概要>
(表1)

1 導入状況

 発生農場の概要は表1に示したとおりで、8戸51頭が発生しています。発生までの導入が多い農家は4戸でした。そのうち2戸は導入牛検査で患畜が見つかりました。導入元は北海道が13頭、県外が1頭、県内が2頭、アメリカが1頭でした。発生農場の4ヶ月毎の継続検査で発生があったのはA、B、D、Eの4農場でした。発生頭数では導入牛が17頭に対し自家産牛が2倍の34頭になっています。F農場では導入牛の発生はありませんでしたが、4の親子関係のところで示すように感染牛の導入があったと推定され、全ての農場で感染牛の導入が発生の原因となっていました。

2 初乳給与状況

 自家産牛の発生原因は、ヨーネ菌に汚染された初乳によると言われていることから初乳の給与状況について調査しました。
 基本的に初回は母牛の初乳を与えていましたが、2回目からはプール初乳や発酵初乳を給与している農場が多くありました。

3 繁殖状況調査

 繁殖状況の調査から分娩後日数では151日から180日の泌乳中期、331日から360日の期間で患畜の発生が多く見られました。この期間の牛は妊娠日数が50日、100日前後、200から250日のものが多く、患畜の発生には、分娩後日数(泌乳ステージ)よりも妊娠日数が関連していると思われました。

4 親子関係

 (図1)

 図1に平成16年に発生のあった農場の親子関係とエライザ検査成績を示しました。一番下がこの農場の発生原因になったと思われる輸入牛の親子関係です。この農場では導入はこの輸入牛の1頭でしたが、その産子が平成14年に他の農場で患畜となっています。
 患畜の子が患畜となっているのはbPの1例のみでした。また、bSのように姉妹での発生が1例でした。陰性牛の子が患畜となった例が多く見られました。
 この農場では1カ所に何頭もの哺育牛を繋ぎ、プール初乳を給与していたことから輸入牛の分娩時期に細い(A)ラインを入れてみると、この時期に生まれた牛が患畜となっていました。さらに細いラインの時期に生まれた牛の分娩時期を中(B)ラインで追加すると、この時期にも患畜、ハイリスク牛が多く生まれています。また、中ラインの時期に生まれた牛の分娩時期を太(C)ラインで追加すると、感染牛の分娩と同時期に哺育された牛に感染が広がっている様子が確認され、牛群全体に感染の危険性が増加していたと思われます。

<ヨーネ病対策>

 以上の調査の結果からヨーネ病対策としては以下のことが大切です。
 一番目は適切な衛生管理が挙げられます。これは飼養衛生管理基準にもあるとおり、定期的な清掃消毒、作業従事者の消毒を行うことが必須条件です。
 二番目は感染牛を入れないために導入牛検査を徹底することです。導入前に検査を受けて陰性証明のある牛を購入するのが望ましいです。陰性証明のない牛は、北海道導入牛に限らず導入牛全ての検査を受けましょう。
 三番目に定期検査・発生農場の継続検査もあわせてエライザ検査の結果をもとにハイリスク牛を特定し、自主淘汰をすすめることも必要です。
 四番目に分娩・哺育時の管理ですが、感染の拡大を防ぐために重要なポイントであり、ヨーネ病対策の柱として取り組まなければなりません。導入があればいつ感染牛が入ってくるかわからない状況であるため、発生農場に限らず哺育時の管理は最も重要な対策と考えられます。
 主な注意点を表2に示しました。

(表2)

 まず、分娩前には分娩・哺育の場所を消毒します。母牛の牛体も消毒するとなお良いと思います。
 分娩後は速やかに子牛を保護(羊水の拭き取り、臍帯の消毒)し、清潔で個別に管理できる哺育場所(カーフハッチ等)に移動します。
 初乳は糞などに汚染されないように注意して搾るようにします。
 初乳給与は分娩後できるだけ速やかに人工初乳かエライザ陰性牛の初乳を、個別に給与することが重要です。

<終わりに>

 A、B、C農場は最終発生から2年以上発生が見られていない陰性農場です。特にA、B農場は続発はありましたが、自主的にハイリスク牛を多数淘汰し、初乳はエライザ検査陰性牛のものだけ利用するという対策を行い、今年度の糞便培養の結果が陰性になると清浄農場に戻ることができます。
 ヨーネ病はその病性から感染牛を一度に全滅することが困難であるため、こうした対策を根気強く続けることで大切です。