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岡山県肉用牛振興戦略について

岡山県農林水産部畜産課

1 肉用牛振興戦略策定に至った経緯

 (1) 岡山県肉用牛振興プロジェクト会議の設立
 最近の牛肉需要の高まりから,岡山県では乳用種を中心とした肥育経営規模の拡大が進み,その結果肉用牛飼養頭数は増加傾向にあります。
 一方で和牛繁殖経営は,担い手不足等から飼養戸数・頭数ともに減少傾向にあります。

表1 岡山県における肉用牛飼養状況

 和牛繁殖経営は,和牛肥育素牛の供給元としてだけでなく,中山間地域に根ざした資源循環型の主要産業として重要な位置にあります。
 このような状況のもと岡山県では,繁殖雌牛の増頭をテーマとした肉用牛振興戦略の策定が急務であるとの観点から,岡山大学横溝教授を座長とする「岡山県肉用牛振興プロジェクト会議」を平成16年6月25日に設置しました(写真)。
 併せて県下9振興局単位においても同様に「地域肉用牛振興プロジェクト会議」を設置し,地域の実情に即した振興戦略の策定を行うこととしました。
 (2) 検討の経過
 県プロジェクト会議では,肉用牛を取り巻く現状や戦略の方針について検討をおこないました。委員からは「地域産業として存続していくためには,繁殖雌牛5,000頭は死守しなければならず,そのために打つべき対策は,一年ごとの具体的な取り組みにまで踏み込んで議論することが重要である。」など,現状打開のための前向きな意見が多く出されました。
 この検討を踏まえ,戦略のスタイルとしては,中期の増頭目標(五カ年計画)と,これに基づく一年ごとの増頭目標を達成するものとしました。

2 岡山県肉用牛振興戦略

 7月から10月にかけて振興局単位で地域プロジェクト会議が開催され,この検討内容をもとに,各地域における具体的な振興施策が樹立されました。
 県プロジェクト会議では,5カ年計画に基づく増頭を実現するため,地域プロジェクト会議との連携を図りながら,必要な施策を展開していくこととしました。

 (1) 戦略の概要

 中山間地域が県全体の8割を占める岡山県にあって,その多くは担い手不足とそれに伴う耕作放棄地の増大等が深刻な問題となっている。また,食の安全・安心への関心の高まりや牛肉需要の拡大などから,国内産牛肉の需要はますます高まってきている。
 土地基盤に立脚した肉用牛経営は,中山間地域の活性化,牛肉の安定供給に欠かせない産業であり,本県の肉用牛経営が発展するためには,特に肉用繁殖経営の安定と拡大を中心とした振興対策が急務となっている。
 このため,経営規模拡大や粗飼料自給等による生産基盤の一層の強化を進めるとともに,受精卵移植技術の活用による和牛産子の効率的生産を図る。また,ヘルパー組織の整備や地域内哺育育成分業システム等の作業外部化の推進,新規参入の促進等担い手対策についても強力に展開していく。

 (2) 戦略のポイント

  [1] 生産基盤の強化
 省力的な施設への改修,低コスト施設の整備,あるいは放牧利用等より規模拡大を推進し,生産コストの減・収益性の向上を目指す。
 繁殖経営の基礎となる優良雌牛の保留・導入を計画的に実施することにより経営の安定を図るとともに,法人化や大規模経営体の育成等,経営基盤の強化も併せて推進する。
  [2] 生産頭数の拡大
 乳牛の借り腹による受精卵産子の生産や分娩間隔の短縮など,既存資源の有効活用により,生産頭数の効率的な拡大を図る。
  [3] 担い手対策
 高齢化等に対応するためのヘルパー組織の整備や,哺育育成分業体制等の構築により,地域支援システムの充実強化を図る。
 また,酪農経営からの転向や,異業種からの新規参入等,幅広い担い手確保対策を展開する。

 (3) 戦略実現のための施策

  [1] 増頭目標
 岡山県産牛の安定生産を実現するため,一年ごとに具体的な増頭目標を定め,5カ年計画で重点的に振興施策を展開する(表2)。
  [2] 増頭目標達成にむけた具体的なアクション

表2 岡山県における増頭目標

●規模拡大,労働時間の短縮を実施し,経営の安定を図る
主要施策:肉用牛生産条件特別整備事業
     (単県)
     地域肉用牛振興特別対策事業
     (国庫)
●遊休農地に和牛を放し,生産コストの低減を図る
主要施策:モー大丈夫!放牧でいきいき遊休農地活用事業(単県)
●導入事業を有効に活用し,計画的な雌牛の能力向上を図る
主要施策:地域肉用牛振興特別対策事業
     (国庫)
●酪農経営と協力し,受精卵移植による和牛子牛生産をすすめる
主要施策:おかやま和牛増頭ネットワークモデル事業(単県)
●肉用牛ヘルパー制度の活用を図る
主要施策:地域肉用牛振興特別対策事業
     (国庫)

3 今後の取り組み

 今回策定した戦略の目標達成に向けて,生産者や関係機関に主要施策のPRを徹底するとともに,地域プロを中心とした積極的な働きかけにより,具体的なアクションを展開していくこととしています。


岡山県肉用牛振興プロジェクト会議の様子