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〔畜産農家の声〕

我家の酪農パノラマ

おかやま酪農協女性部   
中央町 池上 節子

 美作台地の山の中,「牛を飼うにはいい所だね。」と我家を訪れた人は皆さん言ってくれます。なる程,家の数は少ないし,なだらかな台地が続き,日当たりも最高です。「住めば都」と言うけれど・・・・
 まさかの,まさか,酪農家に嫁ぐとは夢にも思わなかった若かりし頃,それが1本の糸にたぐり寄せられ,酪農家の主人のもとに嫁いできて30年が経過しました。

☆ 時の流れ(我家の酪農の歴史)

 私が嫁いだ頃,乳牛12頭程,義父母共に元気で,バケットミルカーで搾っていました。1年を過ぎた頃,経営を譲り受けた主人は年々牛を増頭し,牛舎も主人の器用大工で拡大して来ました。
 昭和46年,自給飼料増産のため,我家も山をブルドーザーで押し畑を造成しました。平らになった畑を見て「これで私もトラクターに乗れる。」と喜んだものでした。
 この時期次々とトラクター,ワゴン,播種機,マニアスプレッダー等を購入。また昭和52年パイプラインミルカー,昭和53年バーンクリーナーと近代化を図りました。自給飼料の作付けは,当初春作にイタリアン,夏作にトウモロコシを作付けしていましたが,イノシシの被害に勝てず,夏作はソルゴーを作付けし,バンカーサイロに詰め込みをしています。通年サイレージでコストダウンを図ると共に,粗飼料を十分与えることで牛の調子もまずまずではないかと思っています。

☆ 我家は自家育成がお気に入り

 頭数は多くありませんが,後継牛は自家育成と決めています。育成牛舎では月齢に合わせて管理しています。
 ET事業にも取組み雌雄判別済みの受精卵を使うことで,保留牛の確保と牛群のレベルアップを図っています。牛群の1頭当たりの乳量も以前に比べ随分とアップしてきました。毎月の検定では1頭ごとの成績を把握し,十分活用しています。
 自家育成牛は事故も少なく,乳量も平均以上。おとなしいので我家には合っていると思います。

☆ 酪農ヘルパー

 私達酪農家には,1日として休みはありません。変わって仕事をしてもらえるヘルパー制度を利用できる事は,大変有難いと思っています。
 仕事をヘルパーさんにまかせ,休日をつくり,その日は自分のしたい事を十分楽しんでいます。
 子供3人もそれぞれ独立し,自分たちの道を歩いている現在,私達も酪農を楽農に変え,ゆとりを持ちながら,我家に合った酪農でいいのではないかと思っています。
 人にはそれぞれの人生があります。手をかければ答えてくれる牛たち,自然を相手の農業ですが,酪農をしていて良かったと思っているこの頃です。
 世の中暗いニュースが多い中,我々酪農家庭に明るい光がさすことを願ってやみません。