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〔技術のページ〕

採卵鶏への茶ガラサイレージの給与が卵質等に及ぼす影響

岡山県総合畜産センター環境家畜部中小家畜科

1 はじめに

 近年,デザイナーズエッグと呼ばれるDHA,ビタミンE等の含有量の高い機能性を重視した鶏卵の開発が進み市販されています。しかし,原材料が高価である等の問題点もあります。一方,飲料用緑茶を抽出した後の茶ガラは,ビタミンE,β−カロテン,ポリフェノール等の含有量が高く,抗酸化力が高いと認められ有用な資源として注目されています。しかし,飲料工場から排出された茶ガラは,水分含量が高く腐敗しやすいため品質を維持することは困難です。そこで,茶ガラに乳酸菌を添加することでサイレージ化し,飼料としての品質を保持させると共に,これを採卵鶏に給与することで,卵質の向上および卵黄中のビタミンE,β−カロテン含有量の高い鶏卵生産を目的に試験を行いました。

2 試験概要

 茶ガラサイレージの添加割合は,乾物重量換算で1%および3%とし,対照区は市販の配合飼料(成鶏用)を給与しました。供試鶏は,白色レグホン種67羽を各試験区に配置し,340〜368日齢,480〜508日齢の期間で2反復の試験を行いました(表1)。

3 試験結果

 1)卵質に及ぼす影響
 試験区2は対照区と比較して,卵黄色ではL*値が低くa*値およびb*値が高くなり(p<0.05),ハウユニットも有意に高くなりました(p<0.01)。その他の卵重,卵殻厚および卵殻強度には試験区間に差はありませんでした(表2)。

 2)卵黄成分に及ぼす影響
 試験区2は対照区と比較してビタミンE含有量は高くなる傾向がみられ,β−カロテンの含有量は有意に高くなりました(p<0.01)(表3)。

 3)体重および産卵率に及ぼす影響
 試験区間に有意な差はありませんでした(表4)。

4 ま と め

 今回の試験結果より,採卵鶏へ茶ガラサイレージを3%の給与することにより,産卵率,体重及び卵重等の生産性を低下させることなく,卵黄色およびハウユニットを高め,さらに卵黄中のβ−カロテンの含有量も高くなることが考えられました。しかし,今回の試験では,水分含量の多い茶ガラサイレージを配合飼料と時間別給与としたため作業上のロスが大きくなりました。したがって,本技術をフィールドで利用する場合には,あらかじめ茶ガラサイレージと配合飼料を混合し,腐敗を防ぐ技術の検討が必要であると考えられました。


茶ガラサイレージ製造風景