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〔家畜保健衛生所のページ〕

アカバネ病の発生状況と予防対策

津山家畜保健衛生所

 平成10年にアカバネ病が大流行し,多くの子牛が被害を受けたのは記憶に新しいところですが,平成16年度もアカバネ病による異常産が県下で多発しています。そこで,本年度の管内のアカバネ病の発生状況とアカバネ病を含めた牛のアルボウイルス性異常産の予防について述べたいと思います。
 県下の家畜保健衛生所では,毎年6月から11月までで月1回未越夏牛(その年の夏を初めて過ごす子牛)を対象にアカバネ病ウイルス,アイノウイルス,チュウザンウイルス,イバラキ病ウイルス,牛流行熱ウイルス,ブルータングウイルス等のアルボウイルスに対する抗体検査を実施し,これらのウイルスの流行状況を調査しています。
 本年度の調査の結果,当家保管内では9月下旬に調査農場4戸中3戸(75%),子牛12頭中8頭(66.7%)の牛についてアカバネウイルスの陽転が見られました。県下全域でも流行が確認されています。
 平成16年度,当家保管内において16戸 20頭(平成17年2月28日現在)の子牛について病性鑑定を実施しましたが,下記のような結果になりました。そのうちアカバネ病は12戸14頭と多発しており,主要な外貌所見は前後肢の屈曲,起立不能などでした。来年度の4〜5月までの続発が懸念されます。
ウイルス性異常産の予防について
 今年のようなアカバネ病ウイルスによる異常産の発生をはじめ,アルボウイルス性異常産は,胎子の損失はもちろん,体型異常胎子の難産により母牛にも深刻な影響を及ぼすこともある恐ろしい疾病です。
 発生を防ぐためには,ワクチン接種により母牛の免疫力を高めておくほかに方法はありません。今年度のアカバネ病症例は全て牛異常産ワクチン接種を行っていないもので発生しています。
 過去数年のアルボウイルス流行状況で,アカバネ病は約5年周期で大きな流行をしていることが伺えます。このような流行の見られた翌年などにはワクチン接種率が増加しますが,その後はだんだん接種率が下がる傾向のようです。
 また,アイノウイルスもアカバネウイルスとは異なった年に散発的な流行が見られることから,予防のためには,異常産の混合ワクチンを継続して接種していくことが重要です。その年に初めて夏を迎える未経産牛に加えて,流行時期に感染していない経産牛がいることも考慮して,確実にワクチン接種をするようにしましょう。

平成16年度 体形異常子牛病性鑑定結果