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〔特集〕平成17年度重点施策

平成17年度畜産施策の推進方針

岡山県農林水産部畜産課

 畜産を取り巻く情勢は,高齢化の進展や担い手の不足,先行き不透明なWTO交渉,国内でもBSEが続発し高病原性鳥インフルエンザについても再発が懸念されるなど,厳しい環境が続いています。
 このような状況のなかで,収益性の高い魅力ある畜産経営の確立を図るためには,国際化に対応した低コスト生産はもとより,消費者が求める安全で高品質な畜産物を生産することや,県産畜産物の積極的なPRによる消費の拡大が大きな課題となっています。
 このため,「食料・農業・農村基本計画」に基づいて,新たな「酪農及び肉用牛生産近代化計画」を策定し,地域の特色を活かした岡山畜産の確立を目指すとともに,「新世紀おかやま夢づくりプラン」や「21おかやま農林水産プラン」を踏まえ,安全で安心な畜産物の安定供給と食料自給率の向上を推進します。
 また,昨年11月から「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が施行されたことから,農家の巡回指導等を通じて適正なふん尿処理を徹底するとともに,耕畜が連携したたい肥の利用を積極的に促進するなど,自然循環型農業の確立を図ることとしております。
 さらに,担い手の育成確保をはじめ,耕畜連携による自給飼料増産対策,和牛増頭対策,海外悪性伝染病の侵入防止や蔓延防止など家畜衛生対策の充実強化などに取り組むほか,畜産物トレーサビリティシステムの充実により,県民に対して積極的な情報発信を行うとともに,地産地消運動等を通して消費者の理解を深め消費の拡大を図るなど,活力と持続性に富んだ力強い畜産の実現を目指してまいります。
 こうした基本方針の達成に向け,本年度は次の施策を積極的に推進することとしております。

1 安全・安心な農林水産物の生産振興

 (1) 食肉の安全・安心対策事業
 県産食肉に対する消費者の信頼を確保し消費拡大を図るため,県産牛肉トレーサビリティシステムの管理及び農家情報の更新を継続実施するとともに,生産から消費までの関係者相互の理解を深めるため,畜産物に関する情報交換等を行う体制づくりを推進します。

2 新技術を生かした21世紀型農業の推進

 (1) 総合畜産センターの試験研究
 畜産農家の経営の安定や環境にやさしい農業の構築を図るため,新たに次の課題に取り組みます。
 @健康で安全な豚肉・鶏肉の生産技術の開発
 A鳥インフルエンザ等による鶏卵移動禁止措置等の緊急事態における鶏卵生産調整技術の検討
 B高熱性微生物を活用した堆肥化処理技術の検討

3 畜産業の振興

 (1) おかやま和牛増頭ネットワークモデル事業
 岡山県産牛肉の安定供給を図るため,乳牛を借り腹とした和牛受精卵移植を広域的に実施し,和牛繁殖農家,酪農家及び子牛集団ほ育農家のネットワークを構築しながら,和牛繁殖雌牛の効率的な増頭を推進します。

 (2) 乳用受精卵広域利用システム化事業
 酪農経営の安定と生乳の安定的供給を図るため,農家で飼養される優秀な乳牛から採卵した受精卵の広域利用体制を確立し,乳用牛改良の効率化を推進します。

 (3) 畜産の里育成強化対策事業
 輸入畜産物に対抗し,消費者に対し安全・安心で高品質な県産畜産物を,合理的な価格で安定的に供給するためには,生産構造の早急な改善と産地の育成が急務です。このため,酪肉近代化計画及び産地育成アクションプランを策定し,生産・経営指導等を行いながら,新たな生産方式等の実践と普及に必要な施設・機械の導入を積極的に推進します。

 (4) 牛ヨーネ病緊急清浄化対策事業
 難治性下痢を特徴とした牛のヨーネ病を清浄化するため,自主検査の実施により検査回数を増やし,患畜の発見・淘汰を推進するとともに,発生農場における感染防止対策として「ほ育マニュアル」に基づく超早期の母子分離飼育を実証することにより,ヨーネ病の場内感染を予防し清浄化を図ります。

 (5) 飼料生産基盤整備事業
 中山間地域等において林地や草地の利用体系を再編整備し,畜産的利用を促進するとともに,担い手への土地集積を加速しつつ畜産主要産地の再編整備による飼料生産コストの低減を図り,畜産経営基盤の確立を図ります。

4 環境にやさしい農林水産業の推進

 (1) 畜産バイオマス利活用実証展示普及促進事業
 メタン発酵技術を利用した発電システムの実展示を通じて,家畜ふん尿の新たな利活用方策の普及啓発を行うとともに,生ゴミ等一般廃棄物との合併処理方策を併せて検討するなど,化石燃料に代わる新たなバイオエネルギー資源として家畜ふん尿の有効活用を推進します。

 (2) 畜産環境対策
 今後,生産量がますます増大することが予想される堆きゅう肥の流通及び利用を促進するとともに,適正なふん尿処理を通じた環境保全型畜産の構築を推進し,地域社会と共生した畜産業の発展に努めます。

 平成17年度の岡山県畜産施策の推進方針,主要事業は以上のとおりですが,これらの施策を円滑に実施し,実り多き事業とするためには,関係各位の御理解と御協力がなによりも不可欠であると認識しております。
 また本年度は,栃木県で第12回全日本ホルスタイン共進会,第4回全日本ジャージー共進会が開催される年でもあります。前回大会に引き続き,本県出品牛が優秀な成績を収めることで,酪農のみならず,畜産界全体に夢と希望を与える絶好の機会であります。
 皆様方の絶大なる御支援を賜りますよう,併せてお願い申し上げます。