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〔特集〕平成17年度重点施策

平成17年度から始まる試験研究課題の紹介

岡山県総合畜産センター 経営開発部

 総合畜産センターでは,平成17年度より新たに3つの試験研究課題に取り組んでいます。
 以下に各課題の概要を紹介します。

【研究内容】

1:健康で安全な生乳・豚肉・鶏肉生産技術の検討         (H17〜19)

 畜産分野では疾病の予防や治療,または成長を促進する目的で,大量の抗菌性物質が使用されており,薬剤耐性菌の出現等が心配されています。こうした中,抗菌性物質の代替として乳酸菌等の微生物製剤の利用が期待されています。しかし,乳酸菌製剤は高価であり,継続使用した場合,経費負担が大きくなります。
 そこで,岡山ならではの安全・安心な畜産物の生産技術を構築するため,乳酸菌製剤を低コストで生産する技術の開発及びこの製剤を効果的に利用する技術を開発します。
 本課題は大阪府立食とみどりの総合技術センター及び民間2社と共同で実施しています。
 本年度,牛については低コストで乾燥粉末化した乳酸菌を子牛に給与し,免疫機能増強効果や下痢抑制効果等を検討します。
 豚・鶏については,離乳後の子豚及びブロイラーの初生雛に乳酸菌を給与し,腸内細菌叢の改善効果,下痢抑制効果等について検討します。また,抗菌性を有する有機酸についても同様の効果を検討します。

2:鳥インフルエンザ等による鶏卵移動禁止措置等の緊急事態における鶏卵生産調整技術の開発       (H17〜19)

 高病原性鳥インフルエンザ等の伝染性疾患が発生した場合,鶏卵移動禁止措置等により鶏卵の保管や廃棄に多大な経費が必要となり,社会的にも大きな経済損失となります。
 このような緊急時の対策として,鶏卵の生産量調整技術が有効です。その一つとして強制換羽技術(絶食により強制的に産卵を停止させる技術)の応用が考えられます。
 しかしながら,この方法は鶏に強いストレスを与えるなど多くの問題点も抱えています。
 そこで,各産卵期(150日〜600日齢)において維持飼料程度の給与制限を行うことにより,健康な状態で鶏群維持しながら産卵を抑制する技術を検討します。また,移動禁止措置の解除後,採卵体制を早期に回復するための技術についてもあわせて検討します。
 本年度は,日齢別の採卵鶏を対象に,設定給餌量,給餌期間での産卵停止状況を調査します。さらに,産卵回帰後の卵重・卵質についても調査します。

3:高熱微生物を活用した堆肥化処理技術の検討          (H16〜18)

 家畜排せつ物法の施行により,堆肥流通量の増加が予想されますが,これを円滑に処理するには,低コストで迅速かつ高品質な堆肥を製造し,広域流通を図っていく必要があります。
 そのために,80℃以上の高温で堆肥化に働く微生物を活用し,堆肥化期間の短縮技術や安全で衛生的な堆肥製造技術を開発します。
 本年度は,高熱性微生物が生育していると考えられる,温泉,堆肥,土壌等から微生物の分離培養を行い,生育可能温度が高い微生物を探索します。

 以上,平成17年度に新規で実施する試験課題を紹介しましたが,このほかにも「イタリアンライグラスの省力的生産技術や簡易放牧技術の検討」「岡山和牛低コスト生産のための飼養管理法の検討」「近赤外線分光法による低腹腔内脂肪種鶏選抜技術の開発」などの課題も継続して実施します。
 これらの課題の成果にご期待下さい。