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平成17年度鶏卵生産指針について

岡山県農林水産部畜産課

 平成16年度に、行政主導の羽数枠管理による計画生産が廃止され、生産者の主体的判断に基づく生産へと移行することが決定されました。
 農林水産省は、生産者の経営判断に資するため、全国的な鶏卵の需給に関する情報を収集・加工した「鶏卵生産指針」(以下、「指針」)を毎年度末に作成し、関係者に周知することで、生産者の合理的な経営判断を促しながら、鶏卵の安定供給を図ることとしています。
 そこで、平成17年3月28日付けで農林水産省生産局長より指針の通知がありましたので、その概要について報告します。

1 消費の動向

 鶏卵の消費は、平成6年を境に近年はわずかながら減少傾向で推移してきたところであるが、平成14年度以降、外食や調理食品としての消費が増加すると見込まれるほか、疾病に関する正確な知識の普及により、高病原性鳥インフルエンザによる消費の減退から脱却し、平成17年度においては消費は回復するものと見通されます。

2 平成16年度の卸売価格

 鶏卵の卸売価格は、鶏卵の自給率が96%(平成15年度)と高く、需要もおおむね安定的に推移していることから、わずかな生産量の変動が大幅な価格変動につながりやすい傾向にあります。
 平成16年度は、平成15年度の卸売価格が記録的に低水準で推移したことや高病原性鳥インフルエンザ発生による鶏卵の消費者離れが懸念されたことから、生産者の主体的判断に基づく生産抑制が進んだことにより、高水準で推移しています。

3 平成17年度以降の生産意向調査

 平成16年12月、全国の飼養羽数5万羽以上の生産者を対象に、現在の生産量及び今後の生産意向についての調査を実施した結果、今後1〜2年間の生産の増減に関する意向は、現状維持が67%、増産12%、減産4%、未定が18%となっています。
 増産意向示した生産者の総増産羽数から減産意向を示した生産者の総減産羽数を差し引くと238万羽の増産となり、調査回答者の総飼養羽数1億6百万羽と比して2.2%相当の増産意向が見い出されます。

4 平成17年度における消費安定及び価格安定のために必要な取組

 鶏卵の生産量と雛のふ化羽数には、正の相関関係がある一方で、鶏卵の生産量と卸売価格については負の相関関係があり、1%相当の生産量の増加が5.5%程度の卸売価格の低下につながるとの分析結果もあります。こうしたことから、価格安定のためには、次のような取組が必要であると考えられます。

(1) 需給に見合った鶏卵生産の必要性

 1)過去6カ年のほぼ平均的な卵価水準であった平成14年度と同等の価格水準を目指すためには、平成16年度の水準よりも2%程度の増産が必要と考えられます。
 2)過去6カ年のうち最も卵価水準が高かった平成11年度と同等の価格水準を目指すためには、平成16年度の水準よりも2%程度の減産が必要考えられます。

(2) 高付加価値化への取組

 トレーサビリティへの対応や、栄養成分の強化等を行ったこだわり卵、産地直売等といった消費者ニーズに見合った付加価値を有する卵の生産への取組が有効であると考えられます。

 鶏卵は、わずかな供給増が、大幅な価格の下落につながる特性を有していることから、「鶏卵生産指針」を踏まえた生産が行われ、経営の安定に資するよう、各地区鶏卵需給調整協議会等を通じて、関係団体や生産者への周知を図っているところです。