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〔技術のページ〕

飼料用トウモロコシを活用した飼料自給率向上をめざして!!
−細断型ロールベーラ現地調査試験−

岡山県総合畜産センター大家畜部  串田 晴彦

1 はじめに

 飼料用トウモロコシは、10a当たりの栄養収量が高く、また、ふん尿利用の面からも酪農経営にとって最も適した作物と考えます。最近では、県内でもそのようなことに着目し、二期作栽培を始めた地域もあります。総合畜産センターでは、トウモロコシを最も重要な飼料作物として位置づけ、省力かつ効率的にトウモロコシのロールベールサイレージが調製できる「細断型ロールベーラ」(以下、細断型ベーラ)の実用化に向けた試験を平成14年度から15年度に実施しました。そこで、前回の報告(2003年2月号)以降の取り組み内容及び今後の取り組みについて紹介します。

2 細断型ロールベーラとは!!

 コーンハーベスタで収穫・細断したトウモロコシをロールベールに成形するもので、@ロスが少なく、高品質で安定したロールベールサイレージの調製、A収穫・調製作業の少人数化、Bサイロ詰め等の重労働の軽減、C天候の急変への対応などを目的に平成8年度から生物系特定産業技術研究支援センターで研究され、平成16年4月に市販された機械です。(図1)

3 現地試験(H14〜15)

 おかやま酪農業協同組合と共同で当センターを含む県内6カ所(酪農家4戸、和牛繁殖農家1戸の合計291a)で実施しました。(図2)

@サイズ、重量、乾物密度、ロス及び発酵品質

 ベールのサイズは直径が82p、高さが90p、重量は黄熟期収穫で350sとなり同サイズの牧草ロールの2倍以上でした。単位体積当たりの乾物重量を示す乾物密度は、最高値で 235.7s/・に達し、その数値は高さが約7mのサイロの最底部にかかる圧力で梱包されていて非常に固く締まっており、「高密度!」であることを意味します。ベーラからロールが放出されるときにこぼれた量は、できあがりのロール重量に対して1%前後と少ないものでした。給与開始時(調製後約1ヶ月から3ヶ月)の発酵品質はフリーク評価(以下、評価)で全サンプルにおいて「優」と良いものでした。

A長期保存した場合の発酵品質

 14ヶ月間保存した場合の評価は全期間を通じて「優」で、良好な状態が維持されました(図3)。さらに、平均気温が30℃を超え、酵母やカビの増殖が活発になり、二次発酵が起こりやすい8月でも細断型ベーラを用いたものでは、評価が優でした。つまり、未開封であればほぼ1年間は良好な品質が維持されたことから、良質サイレージの通年給与が可能であると考えられました。

B高水分材料を用いた場合の発酵品質

 通常、牧草などで高水分材料を用いた場合のロールベールサイレージは、貯蔵中の変形や酪酸菌などによる不良発酵が起こるなどして品質が悪くなることが多くなります。そこで、トウモロコシの水分含量が80%を超える高水分のものを梱包した場合の調製後55、154、176日の発酵品質を調査しました。176日まで評価は優であり(図4)、ベールの変形も見られませんでした。このことより、細断型ベーラを用いると、材料草がトウモロコシの場合に80%程度の高水分であっても、保存性の高い良好なサイレージを調製できることが確認されました。ただし、排汁が出て、それによる臭気の問題が発生することがあるため、貯蔵場所の選定には注意が必要です。
 今回の試験で、トウモロコシサイレージの調製に細断型ベーラを用いることにより、保存性が高く、良質なものが得られ、通年給与が可能となることが確認されました。今後、細断型ベーラが飼料用トウモロコシの作付け面積の拡大、ひいては飼料自給率の向上の基軸となることが期待されます。

4 今後の取り組み!

 昨年度は4つの台風が上陸するなど、トウモロコシ栽培にとっては大変な年でありましたが、津山市、高梁市、吉備中央町の酪農家及び当センターを含む4カ所(759a)で、細断型ベーラにより771個のロールが調製されました。その中には新たに取り組みを開始した農家やスイートコーンの収穫残渣のサイレージ化を試みた農家などもあり、その利用が広がりつつあるようです。
 現在、当センターでは飼料用トウモロコシの増産のために細断型ベーラを活用して粗飼料自給率向上を図っています。今後は、高密度に成形でき、保存性も高く、貯蔵施設も必要ないという本機の特性を活かした新しい利用方法としてTMRの梱包に利用し、通年活用を検討することとしています。


図1 細断型ロールベーラ


図2 細断型ロールベーラ作業体系(定置式)


図3 発酵品質の推移(総合畜産センターデータ)


図4 高水分材料サイレージの発酵品質の推移(農家データ)