ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2005年10月号 > 〔県民局だより〕「レールキャリーミルカー」の導入による搾乳作業の省力化 |
つなぎ飼い牛舎では搾乳作業時の搾乳ユニット(ミルカー)の運搬・着脱が手作業であるため,肉体的・精神的に大きな負担となります。それらの負担を軽くするものとして,レールキャリーミルカーがあります。レールキャリーミルカーとは,天井にレールを張りめぐらせ,搾乳ユニットを吊して移動させるものです。自動離脱装置が付いているものや,ユニットが自動で移動するタイプ(搾乳ユニット自動搬送装置)もあります。
今回は,県内ではまだ事例の少ないこれらのシステムを導入し,つなぎ飼い牛舎で効率的に搾乳作業を行っている櫛田牧場を紹介します。
櫛田牧場は金光町南部の丘陵地にあります。経営はご夫婦,従業員2名およびご主人の父,臨時職員1名で行っておられます。
経産牛 | 110頭 |
育成牛 | 11頭 |
哺育牛 | 1頭 |
システム導入前の櫛田牧場では搾乳ユニットの運搬・着脱はすべて手作業でしたので,ご夫婦は体力に自信がなくなってくる将来に備えておかなければならないと考えていました。牧場を移転してフリーストール・ミルキングパーラー方式を採用する案もありましたが,コストや飼養管理のノウハウなどを考慮した結果,牛舎を改良し,このシステムを導入することにしました。平成16年9月にレールキャリーミルカー4台及び搾乳ユニット自動搬送装置3台を整備し,同時に牛枠(レールの支柱を兼ねる)・ウォーターカップ・飼槽・牛床を改良しました。
天井に張りめぐらされたレール
搾乳ユニット自動搬送装置
バルク室横の収納室で待機中
搾乳ユニットはレールを通って牛の間に入っていき,ミルクタップ(パイプライン)に接続します。1台で同時に2頭搾れます。
導入からまだ1年ですが,作業が楽になっただけでなく,バルク乳体細胞数が低値で安定してきたとのことです。将来的にはご夫婦2人だけで搾乳をこなしたいとも話してくれました。
人 数 | 作業時間 | 搾乳頭数 | |
導入前 | 4.0 | 2.0h | 100 |
導入後 | 2.5 | 1.5h | 85 |
「動くミルキングパーラー」とも言えるレールキャリーミルカーは,既存のつなぎ飼い牛舎にも整備できますので,設置コストが安くつくことや,飼養者の作業の軽減や効率化が図られることから,飼養規模の拡大に有効な手段のひとつだと思われました。