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〔共済連だより〕

家畜診療日誌

家畜臨床研修所 審査主幹 谷 孝介

 皆さんは牛の体温を測るのに何分間,体温計を直腸内に入れていますか。
 牛の検温に用いる水銀体温計は実測式の体温計と言われ,人の場合,正しく検温するためには,脇の下での測定の場合,最低10分以上の測定時間が必要とされています。この安定した体温を平衡温と言い,測定されています。

では,水銀体温計は測定する時間により,どの程度の差があるのでしょうか?
いったい,何分間測定すればいいの?

 10分間の測定値と比較し,1分で−0.23℃±0.08,2分で−0.18℃±0.1,3分で−0.08℃±0.1,4分で−0.06℃±0.08,5分で−0.04℃±0.05の差を認めました。
 これは誤差が生じた場合,最大で1分間〜2分間の測定では0.3℃,3分間では0.2℃,4分間〜5分間では0.1℃低く測定されることがあると言うことです。
 結果:水銀体温計では,検温時間が短いと体温は低めに測定されます。
 以上のことから,検温のために必要な測定時間は,4分以上でした。

電子体温計を牛に用いたら! 測定時間短縮? 電子音の影響は?

 人で一般的に使われている電子体温計は,平衡温を予測して体温を表示します。
 電子体温計には5秒,10秒,90秒等で測定できるものがあります。
 上記の電子体温計を用い,水銀体温計10分測定と比べ5秒測定では−0.04℃±0.36,10秒測定で0.4℃±0.24,90秒測定で0.09℃±0.14の差を認めました。
 これは,測定値の誤差が最大,5秒測定では−0.4℃,10秒測定で0.6℃,90秒測定で0.2℃となります。
 結果:測定終了を知らせる電子音に対しては,牛は無反応で,問題はありませんでした。
 今回用いた電子体温計では牛の検温には,用いないほうがよい結果となりました。

電子体温計(90秒測定,防水)を水銀体温計と同じ深さまで挿入して測定したら?

 検温は写真右の方法で行います。
 水銀体温計10分測定と比べ電子体温計は0℃±0.1の誤差でした。
 結果:電子体温計(90秒測定,防水)は,水銀体温計と同様な深さまで挿入することにより,90秒で的確な体温測定が可能でした。
 的確な体温測定のためのポイントは,
  水銀体温計では,測定時間を4分以上
  電子体温計(90秒測定,防水)を水銀体温計と同様な深さまで挿入する。

電子体温計(90秒測定,防水)による検温

検温が不明確

先端より10cm程度の挿入により検温が的確