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〔技術のページ〕

畜産経営から発生する温室効果ガスについて

岡山県総合畜産センター
環境家畜部 環境衛生科

 近年,地球の温暖化による気温や海水面の上昇などが地球規模の問題となっています。 この原因は,化石資源の大量消費等により発生する二酸化炭素等のガスが大気の層から放出されるべき熱エネルギーを閉じこめ,「温室効果」という働きを行っているためといわれています。このような温室効果にかかわるガスは,二酸化炭素,メタン,亜酸化窒素等といわれています。これらのガスは,畜産経営において畜舎内やふん尿処理過程からも発生します。そこで,ふん尿処理施設におけるメタン・亜酸化窒素の発生状況を調査するとともに,発生を抑制する方法を検討するため下記の試験に取り組んでいます。

1.堆肥舎などから発生するメタン・亜酸化窒素の実態

 県内酪農家の乾燥ハウス,堆肥舎の大気を採取し,メタンと亜酸化窒素の濃度を分析しました。

 メタンは,ふん尿中の有機物に由来しており,嫌気状態にあるときに発生しやすく,また,亜酸化窒素はふん尿中の窒素に由来しており,堆肥化処理や浄化処理などの微生物による好気的な分解過程で発生します(図1)。
 乾燥ハウス内のメタン及び亜酸化窒素の平均濃度はそれぞれ7.38ppm,0.344ppmと大気より多く観測されましたが,堆肥舎内に比べ低い値であり,水分の蒸発により微生物の活動が押さえらた結果と考えられました。一方,堆肥舎内では,メタン63.37ppm,亜酸化窒素0.391ppmと乾燥ハウスより高い値でした。


図1 メタン・亜酸化窒素の発生

2.堆肥化過程から発生するメタン・亜酸化窒素

 今回の調査をもとに,堆肥の含水率がメタンや亜酸化窒素の発生に及ぼす影響を検討しました。
 肥育牛舎から敷料とともに搬出されるふん尿の含水率を調整(60%,55%)し,写真及び図2に示した容積13kのチャンバー内で週1回の切り返しを行いながら約2ヶ月間堆肥化を行い,発生するメタン及び亜酸化窒素濃度を24時間連続で測定を行いました。


写真 チャンバー


図2 測定システム

 発酵は順調に進行し,発酵温度は70℃程度でした。メタンは,堆肥化初期に集中して発生し,切り返しを行うことにより2週目以降は発生が低減しました。これは堆肥化が進行し,好気状態になったためと考えられました。亜酸化窒素についても,堆積初期から発生し,3週目以降は発生が低減しました。特に切り返し直後に発生したことから,空気の混入により微生物が活発に活動し,窒素が分解されて発生したものと考えられました(図3,図4)。


図3 メタンの推移

図4 亜酸化窒素の推移

 表2に,本試験で得られたメタン,亜酸化窒素の発生量を示しました。

表2 堆肥化過程での発生量

 メタン・亜酸化窒素の発生量は含水率55%が60%に比べてメタンで48%,亜酸化窒素で36%低減しました。このことから,堆肥化過程で発生するメタン・亜酸化窒素を抑制するためには好気的な条件を作り出すとともに,適正な水分に調整することが重要と考えられました。
 また,温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素については,現在,家畜ふん尿をバイオマス資源として位置づけ,メタン発酵施設により化石燃料に変わる新たなエネルギーとして利用し,二酸化炭素の発生源である化石資源由来のエネルギーを代替することにより削減を図る実証試験を進めています。