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〔家畜保健衛生所のページ〕

全共成績を牛乳の味で恩返し

真庭家畜保健衛生所

はじめに

 11月初旬に,栃木県で全日本ホルスタイン・ジャージー共進会が開催され,特にジャージーでは蒜山地域の牛が各部門の優等賞首席を独占し,完全制覇しました。この背景には岡山全共では惜しくも最高位賞を逃し,悔しい思いをしたことから,5年後の栃木全共でこの「忘れ物」を必ず返してもらおうを合い言葉に出品関係者一丸となっての努力が実を結んだものと思います。
 このことは全国一の飼養頭数を誇る蒜山地域が名実ともに日本一のジャージー産地となったと言えますが,この実績をどのように生かすかが今後の課題だと思います。

歴  史

 ジャージー牛が蒜山地域に初めて導入されたのは昭和29年で,当時米作以外の特産が無く低所得に悩んでいた農家が新しい酪農という産業にチャレンジするきっかけを作りました。
 特に蒜山地域は草資源を活用したいわゆる草地酪農の振興に適した地域であり,ジャージー牛を導入した理由としては粗飼料の利用性が高く,放牧に適し気候風土に対し適応性が高いことに加え,小格・温順で扱いやすいことなどでした。
 しかし,当時はジャージー種はホルスタイン種に比べて乳量が少なく,またジャージー牛乳本来の味が評価されていない時代で,苦しい状況が続きました。この問題を解決するため,蒜山酪農農業協同組合(以下蒜酪)は昭和45年に独自のミルクプラントを建設し,販売ルートの開拓等により付加価値商品としてのジャージー牛乳の位置づけが可能となりました。その後,ジャージー牛乳の特色を生かしたヨーグルト,チーズ,アイスクリーム等の製造が開始され,差別化商品としての販売も順調に推移していきました。このような酪農家,蒜酪をはじめとする関係機関の取り組みで,国内でのジャージー酪農として高い地位を築くことに成功しています。

ジャージー製品の取り組み

 蒜酪の乳製品としては,飲用乳はもちろんジャージーヨーグルト,チーズ,バター,プリン,カフェオレ他約30種類あり,小さな組合として多くの商品を揃えています。特に昭和57年から販売しているヨーグルトは,ジャージー本来の特徴を出すため,あえてノンホモで製造し,そのヨーグルト上部の黄色層は他のヨーグルトでは見られなく,下部は柔らかな舌触りと歯切れの良さがあり,全国でもその味は高い評価を得ています。最近,地元の素材を組み合わせたヨーグルトや各種アイスクリーム,健康志向に応えた各種ヨーグルトなどの新製品も発売されてます。

品質向上の取り組み

 平成11年度からは「健康な牛づくりを促進し,その牛から最高レベルの品質の生乳を生産しよう」をコンセプトに蒜酪を中心に関係機関・団体連携のもとジャージー酪農カイゼン事業を実施しています。事業内容としては農家全戸を対象とした飼育環境巡回調査,飼養状況調査,牛群検定成績の分析,土壌・粗飼料分析,血液プロファイルの検査と分析及び乳房炎防除対策があります。当家畜保健所では搾乳立会を通じ血液プロファイル検査・分析,乳房炎防除対策を中心に指導しています。その結果,乳脂肪率,無脂乳固形分などの成分的乳質と体細胞数・細菌数などの衛生的乳質共に県下でもトップクラスとなっております。

最近の状況

 最近の牛乳の消費は骨粗鬆症などの予防効果があるにも関わらず,お茶やスポーツドリンクに圧倒され全国的に低迷し,蒜酪も同様に苦戦を強いられております。
 ジャージー牛は濃厚でコクのある牛乳をイギリス皇室に御用達するために品種改良された牛であり,日本国内には約10,000頭しか飼育されていない希少な乳牛です。
 全共によりジャージー牛の価値が少なからず全国発信できたことから,これをチャンスと捕らえ,ジャージー牛乳・乳製品を岡山県の特産品として,強くアピールしていくことが今後のジャージー振興にとって大きな鍵ではないでしょうか。