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〔畜産農家の声〕

かえりみて

旭共同牧場 西野 精

 私は,昭和54年に4人で旭共同牧場を始めました。総工費46百万円,うち23百万円が補助金で実質23百万円で近代的な「216頭飼育牛舎」が出来ました。
 当初は,雑牛を北海道から導入して肥育していました。この時期は,肉不足のため売れ行き良好で,750s〜850sに出来上がった肥育牛を久世市場に出荷し経営面から見ても内容はよい方向でスタートしました。
 飼い方は,前期に重点をおき,導入時は半月(15日)かけて早く環境にならすとともに飼料の切り替えを徐々に行い粗飼料を十分給与しました。当牧場は,最初から最後まで自家配合で,飼料内容は特にCF,TDN,DCPのバランスを保つことを心がけ内臓骨格作りをしました。これにより後期には,自然と良く食べてくれました。なお当時は,肉質についてあまりいわれなかったが時々色が濃いと言われることもありました。
 しかし,オイルショックには困りました。一頭当たり15万円も安値で取引され牧場会計も多大な赤字になりました。この時残った牛を見ても利益のでる牛はあまりいないし,経済連(現全農岡山)も出荷割当と言う厳しい状況でした。
 このような中で牛を処分しながらおそるおそる今度は和牛を導入する事に決めました。当時の和牛は非常に安く,まだ現在の久世市場がない時で高梁,新見,久世,津山へ経済連の瀬能先生と和牛購入に行き,4市場で80頭の和牛を平均165千円で購入しました。
 和牛子牛は中の下物でしたが,この時期は雑牛の飼い方でしたので大きくなり600s〜850sの出荷体重で最低でも950円/sで売れるまでになり赤字は減少しました。この時点で雑から和牛,F1肥育に変わりました。
 F1は,総社の酪農家より生後10日の子牛を購入し4農家に60日間預けました。そして牧場の山に放牧し濃厚飼料,粗飼料(良質乾草)共に食べ放題にしました。生後4ヶ月で牛舎に入れ肥育前期飼料に変えることにより,この時点でワンクッションおかなくてもいつも濃厚飼料,粗飼料共に自由採食出来るのでロスが少なく早く大きくなり,生後二十二ヶ月から二十四ヶ月で出荷体重700sから850sまでになりました。
 ここで失敗例を書きますと地元のF1を導入している時は事故はほとんどなく,市場で購入した子牛は事故が多発したので,F1を導入中止とし和牛専門にしました。一番成績の良い時期は,自家配合のうち乾燥オカラを20円/s,パン粉30円/s,コットンハル50円/s,大豆皮等四品目でパソコンにてCF,TDN,DCPのバランスを保った時期が成績が良好でした。当牧場の特徴は,全期間自家配合,パソコンで飼料計算を行い成績は割と順調でしたので飼料計算は必要であったと思います。
 現在は,一人になりましたので肥育から和牛繁殖に切り換え,和牛放牧を取り入れた繁殖経営を体が続くまでがんばっていきたいと思います。