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〔普及の現場から〕

勝央町酪農組合の乳質改善に向けた取り組み

勝英農業改良普及センター 武藤 多佳子

 岡山県の北東部に位置する勝田郡勝央町は,県内有数の生乳産地です。勝央町酪農組合では,良質の生乳を生産するために乳質改善に重点的に取り組んでいます。
 組合全体で乳質改善研修会を実施したり,後継者グループで勉強会をしたりと意識の高い活動を行っていますが,今回は,各機関と普及センターが携わった乳質改善取組についてご紹介します。これは先に真庭,岡山,津山地区等で成果を上げている,乳質改善トラブルシューティングの取り組みを参考にして実施したものです。

1.トラブルシューティング活動

 農場内では疾病,搾乳方法,機械のメンテナンス,飼料給与,牛舎環境等の様々な要因が絡み合って乳質に影響を与えています。これらの項目全てが満点になれば良質乳が生産出来るはずですが,全てを同時に改善することは金銭的にも作業的にも難しいですし,闇雲にやってもそれが主要な要因でない場合,改善効果が出にくいことがあり,「やっても変わらない」となりがちです。そこで農家の現状を把握し,問題点をあぶり出し,乳質に大きな影響を与えている部分から改善していくことで,効率の良い活動を目指しました。

2.指導チーム結成とモデル農家育成

 おからくを核とし,共済連家畜診療所,津山家畜保健衛生所,美作県民局勝英支局畜産班,勝英農業改良普及センターで指導チームを結成しました。
 そして4戸の農家にご協力を頂き,地域の改善モデルになってもらいました。

3.活動の流れ

 1)事前調査

  牛舎に行き,下記の内容について調査します。乳汁検査や疾病の傾向については,家畜保健所や共済連家畜診療所に調査を依頼しました。
  (1) 乳頭スコアの調査
  (2) PLテスタによる各分房の状態
  (3) 乳汁検査による原因菌の特定
  (4) 疾病や繁殖の傾向
  (5) 牛体のモニタリング
  (6) 飼料給与調査
  (7) 飼養環境調査

 2)搾乳立会

  朝の搾乳に立ち会います。農家の人が牛舎に来る30分前には集合します。
  (1) 飼料給与等の作業内容
  (2) 前搾り・清拭からミルカー装着・脱着時間の記録
  (3) 搾乳作業内容
  (4) 機械の稼働状況チェック

 3)検討会

  搾乳終了後,調査結果を元に問題点と改善点を挙げます。農家が自分で実施すべき改善策を3〜5点選択します。

 4)フォローアップ

  改善状況について聞き取り調査をしたり,具体的なアドバイスをします。

5.結 果

 取り組み直後は猛暑だったこともあり,しばらく体細胞数の上下がありましたが,半年近く経つと,今まで高かった数値が30万代を切る人も出てきました。
 また,この結果については2月の勝央町酪農組合の乳質改善研修会で報告し,モデル農家の方も「初めは作業を変えるのは大変だと思ったが,しばらくしたら慣れた」「マニュアル通りにやれば,結果は出ることが分かった」「やって良かった」と感想を発表しました。実際に取り組んだ人の話は,実感がこもり今後の活動に於いて大変参考になるものでした。

6.今後の取り組み

 今年度は,各関係機関が協力することで,各々の専門分野を活かした効果的な乳質改善活動が出来ました。来年度以降は各人が自発的に改善を進めてもらうとともに,希望する農家にはトラブルシューティング活動を行い,管内の乳質向上につなげていきたいと思います。

図1 PLテスタで各分房の状態を調べる

図2 乳頭口スコアをみる。リングが出来ていたら過搾乳のおそれ

図3 PLテスタで高い反応が出た牛について乳汁検査をする

図4 牛舎の環境チェック 牛床は清潔か

図5 搾乳立会当日牛舎前に集合

図6 搾乳作業の記録

図7 現地検討会
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