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〔消費者のページ〕

消費者の畜産物の安全・安心に関するアンケート調査の結果

社団法人岡山県畜産協会

 食品,就中畜産物の安全性確保に関しては,牛肉のトレーサビリティ,JAS法の改正や生産情報の提供,地産地消の推進,家畜とのふれあい等により,次第に消費者の理解が得られてきていると思われます。
 そこで,消費者の意識を再確認し,一層「安全・安心」に対する理解を深めてまいるため,アンケート調査を実施したのでその概要を報告いたします。

1.調査方法等

 (1) 調査は,平成18年1月23日(郵送)〜2月14日(返送)の22日間で行い,アンケート調査票を200名の消費者の方々へ直接郵送,返送願い,167名から回答を得た。(回収率83.5%)

 (2) 回答者の年齢構成は20歳代18名,30歳代31名,40歳代31名,50歳代44名,60歳以上43名であり,(図1)居住地別には都市部43名,郊外54名,農山村46名,沿岸部10名,その他1名(不明13名を除く)となった。(図2)

2.畜産物の安全性に関する事項

 (1) 畜産物を購入する際の最も重要な基準については,「国産品か輸入品か」を基準にしている者が最も多く,次いで「鮮度」,「安全性」,「品質」の順であった。(図3)

 年齢別には国産・輸入等産地にこだわる者は年代の高い程多く,若い世代では「鮮度」や「価格」への関心が高い傾向が見られ,特に20歳代では50%の者が「価格」を基準とした。

 (2) 畜産物に関して最も知りたい情報をたずねたところ,64%の者が「安全性に係る情報」と答え,年代の高い程多い傾向にあるが,特に60歳代以上の層で74%,30歳代の幼児童等の子育て中と思われる層で69%と関心の高さがうかがわれた。(図4)

  また,比率は8%と高くはないが,「健康に関わる情報」,「表示に関する情報」,「産地情報」,「輸入に関する情報」等への関心を持っており,畜産物の安全性に対する意識の高さがうかがわれた。

 (3) 畜産物の安全性で最も知りたい情報をたずねたところ,50%の者が「BSE検査情報」と答え,年代による差もなかった。次いで,「生産農場情報」,「投薬履歴情報」が各20%であり,年代別には「生産農場情報」は40歳代,60歳代以上の層で高く,「投薬履歴情報」は30歳代,20歳代の順に高い傾向であった。(図5)

 (4) 安全性をどのようなことで判断するかについては,「産地」と答えた者が55%と最も多く,次いで「店の信頼性」19%,「色・つや」10%,「賞味期限」9%の順であった。
   年代別には「産地」は30歳代以上の層で高く20歳代では33%と低かった。
   また,「店の信頼性」と答えた者は60歳代以上,20歳代で高く,「色つや」は20歳代で,「賞味期限」は40歳代,60歳代以上で高かった。(図6)

 (5) 畜産物のトレーサビリティ導入が安全性の信頼を高めるかどうか聞いたところ,「多少は高まる」と思うが61%,「相当高まると思う」が13%と7割以上の者が評価しているが,「わからない」と答えた16%の者などの中にはトレーサビリティシステムを理解できていない者が多いのではないかと思われるふしがうかがわれた。(図7)

3.北米産牛肉輸入再開に関する事項

 (1) 北米産牛肉輸入再開に対しての思いを聞いたところ,「安全性が確認されるまで急ぐことはなかった」と答えた者が73%,「再開すべきでなかった」17%をあわせると9割の者が再開に対して不満な気持を持っていることがわかった。年代別に見て20歳代の若い者に再開に批判的な者が67%と少なかった。また,「可能な限り早く再開すべきだった」,「輸入再開のタイミングは妥当であった」と輸入再開を肯定的に見る者は全体では10%と少ないが,20歳代で33%と高い比率であった。(図8)

 (2) 北米産の輸入牛肉の安全性をどう思うかたずねたところ,「安全性に疑問がある」と回答した者が66%であり,年代別には40歳代が最も多く,次いで50歳代,60歳代以上,30歳代,20歳代の順であった。「安全だと思う」と答えた者は6%と少なかったが,20歳代では28%と高い比率であった。「わからない」と答えた者が28%あり,年代に高い層に多く見られた。(図9)

 ア 北米産牛肉の安全性について「安全性に疑問がある」と答えた者の理由では,「食肉処理情報が少なく安全性に疑問」が(28%),「BSEの検査態勢に疑問」が(27%),「危険部位の除去の確実性に疑問」が(23%),「出生記録に乏しく月齢に疑問」が18%と疑問点は多様であるが,年代別には大きな差は見られなかった。(図10)

 イ 「安全だと思う」と答えた者の理由は,「米国,カナダ国内では普通に消費されている」が70%と最も多く,「危険部位の除去が確実に実施されている」,「BSEの発生頭数が日本より少なくリスクが少ない」がそれぞれ10%で20歳代に集中していた。(図11)

 (3) 北米産牛肉の購入意思をたずねたところ,「買わない」と回答した者が72%と圧倒的に多く「買う」と答えた者は5%にすぎないが,仮に「わからない」と答えた者23%も買う意思ありとしても1/4強にすぎない。また,買うと意思表示した者は年代が若い層ほど多い傾向があった。(図12)

 ア 購入する理由をたずねたところ,「価格が安い」がほとんどで,若い20〜30代に多い傾向であった。また,「おいしい」「特に理由なし」等と答えた者が少数あった。(図13)

 イ 購入しない理由では,「安全性に疑問があるから」が80%の他,「おいしくないと思うから」が9%等も理由にあがっているが,ほとんどの者が安全性に疑問を感じているようである。また,年代層による差も見られない。(図14)

 以上,畜産物の安全性に関する事項,北米産牛肉輸入再開に関する事項についてアンケート調査を実施した結果,消費者の畜産物に対する安全・安心に対する関心の高さをうかがうことができました。しかし,生産サイドで安全のためにとり組んでいる各種の制度,体制等を十分にご理解されていないのではないかと推測されるところも見受けられ,一層,生産に関する安全対策等の知識啓蒙を行うための情報提供やディスカッションの場をつくる等の努力が必要であると感じています。
 地産地消推進活動が盛んに行われているところですが,地域産,国内産,輸入物を問わず,賢い消費者として,畜産物を上手に活用して安全で豊かな食生活を送っていただきたいと思います。
 今回のモニターアンケートは調査期間が北米産牛肉輸入が再停止された時と重なったこともあり消費者の方々の安全意識が敏感になっていたのではないかと思われますが,ご参考になれば幸いです。