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〔県民局・支局だより〕

管内公共育成牧場の活性化への取り組み

備中県民局高梁支局畜産班 馬場 彩

1 はじめに

 高梁市大池山育成牧場は地域の酪農家で組織する任意組合によって運営されている公共育成牧場で,ホルスタインの預託育成と買取育成を行い,受精卵移植による優良牛の生産や自給飼料の増産に努めています。平成11年に市営の牧場から経営移譲されて以来年々預託頭数が増加し,現在では常時預託頭数約140頭と,地域の酪農部門の重要な役割を担っています。近年では,地域の繁殖農家の優良雌牛から採卵した和牛受精卵を牧場育成牛に移植し,肉用牛生産にも貢献しています。
 しかし,将来的に農家戸数・飼養頭数の減少が予測される中,乳牛の預託事業だけでは今後継続的に安定した牧場運営を行うことは困難です。
 そこで今回牧場の活性化についての取り組みをいくつか行ったので紹介します。

2 牧場の概要

 (1) 利用組合設立:平成11年4月1日
 (2) 組合員数:約30名
 (3) 預託範囲:高梁市を中心とする県下全域
 (4) 経営規模
   ・常時預託頭数:約140頭
   ・草地面積:65ha(採草地18ha,放牧地32ha,野草地15ha)

3 食育推進への取り組み

 地元の方々の牧場への理解を得,また消費者の立場からも畜産の現場を知ってもらおうと,8月に小学生と保護者を対象に「牧場に集合なんでも体験」を開催しました。高梁市,倉敷市,真庭市等から親子55人が参加し,組合長による紙芝居に始まり,牛のエサやり,搾乳体験,山歩き等を行いました。
 自然の中で牛とふれ合い,美味しい牛乳や牛肉を食べたり,家畜や森林の勉強をしたりと,夏休みの良い思い出になったようです。


みんなで集合写真


大人気の搾乳体験

4 簡易牛舎導入への取り組み

 牧場における優良採卵牛の確保や,ET和牛子牛哺育育成等を目的に簡易キット牛舎を導入しました。
 (1) 特徴
  ・3〜4人で約3時間で組み立て可能。
  ・基本舎(5m×5m=25u)で4〜6頭飼養。
  ・頭数に応じて基本舎に1スパン(2〜3頭飼養)単位で増築が可能。
 (2) 購入先・価格
   全農畜産施設サービス
   約50万円(運賃別途)


組合員らで組立作業


2棟を設置(スタンチョンは別途設置)

5 遊休地活用への取り組み

 傾斜地や未利用の草地を放牧利用するため電気牧柵を導入しました。さらに,市内の農家,市,農協等関係者を集めて牧場で研修会を開催し,総合畜産センターによる放牧技術研修及び現地での牧柵の設置実演を行いました。今後は低コスト和牛放牧の実証展示の場として,地域への普及を図っていきます。


研修会の様子


電牧の張り方を説明

6 今後の展望

 高梁市大池山育成牧場は,地域の貴重な財産であり,地域の酪農家からも大きな信頼を集めています。しかしその運営は利用料と補助金等でなんとか行っているのが現状で,今後畜産情勢の変化や施設の老朽化も進む中,さらなる経営強化・経営自立が望まれます。
 これからは,豊富な草地や自然資源を活用し,肉用牛増頭・改良や住民の憩いの場としての役割も備え,地域に根ざした強固な経営体として発展していくことが牧場の生き残る道であると考えられます。
 畜産振興の中心地として大池山育成牧場に寄せられる期待は大きく,関係者一同,さらなる牧場活性化への推進を行っていきたいと考えています。