ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2006年5・6月号 > 〔技術のページ〕農薬散布時のドリフト対策 |
農薬は農作物の安定的かつ経済的な栽培のために不可欠な資材です。農薬には様々な剤型があり,作物への施用も多くの方法がありますが,最も多く使用されているのが「散布」です。
散布にも様々な方法がありますが,散布機から噴射された散布粒子が空間を移動して到達するという点ではいずれの散布方法とも共通しており,このメカニズムがドリフトに極めて密接に関係しています。
ドリフトとは……農薬の散布粒子が目的物以外に飛散する現象のこと
・周辺住民等への危被害
学校や病院,公園等の公共用施設の内外,住宅地内及び住宅地に近接した農地での農薬使用は飛散対策に最大限の注意を払う必要があります。
・近接作物への残留リスク
ドリフトによって近接した作物から基準値を超える農薬が検出されると流通できなくなりました。
・その他
散布者の健康影響については農薬曝露もドリフトがその主因となっています。
畜産経営における地上防除は飼料作物栽培時の除草剤散布等が想定されます。
・ドリフト発生の最大の要因は風です。風の弱いときに風向きに注意して散布することは全てに共通した最も基本的な対策です。
・散布はできるだけ対象だけにかかるよう注意し,ほ場の端部での散布は外から内へ向かって散布するようこころがけましょう。
・散布ノズルは農薬の送達手段として最も重要なパーツであり目的に応じた適正なノズルを使用しましょう。ノズルは散布圧力を高めるほど噴霧量が増加しますが,粒径はより細かくなり,ドリフトしやすくなります。除草剤では薬害防止の観点からもドリフトに注意が必要ですが,ドリフトしにくい粗大な粒子を発生させる除草剤ノズルを使用することが望ましいでしょう。
・散布量が多いほどドリフト量は多くなりますが,むやみな節減は効果の低下につながるため適正な量で散布を行いましょう。
・タンクや配管中の残液は次回の散布時にそのまま散布されて部分的に高濃度の残留につながる恐れがあるので散布終了後はタンクやホースをしっかりと洗浄しておくことも重要です。
平成15年の食品衛生法改正に基づき,食品中に残留する農薬,飼料添加物及び動物用医薬品について,一定の量を超えて農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止するという新しい制度(ポジティブリスト制度)が本年5月29日から施行されました。
農薬は適正に使用しましょう まず,農薬容器に表示してある,適用作物,希釈倍数,散布量,使用時期や回数等を正しく守って使用し,購入したり使用したときは必ず記帳することが基本です。 |
参考資料
社団法人日本植物防疫協会
地上防除ドリフト対策マニュアル