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ポジティブリスト制度の導入に伴う生産現場での対応について

岡山県農林水産部畜産課

本年5月29日から,食品衛生法に基づく農薬等の残留基準についてポジティブリスト制度が導入され,施行されています。ポジティブリスト制度とは「残留基準が設定されていない農薬,動物用医薬品,飼料添加物が一律基準を超えて残留する食品の製造,加工,販売が原則禁止される制度」と総括されています。本稿ではポジティブリスト制度の導入にあたり生産現場での対策について紹介します。
 生産者の皆様には,より安全で安心な畜産物を生産するために,次のことを参考に動物用医薬品等を適正に使用するようお願いします。

動物用医薬品の使用について

○使用基準(対象動物・用法・用量・休薬期間等)の遵守

 ポジティブリスト制度の施行により,いままでの使用基準が変更され,使用禁止期間や休薬期間が延長されたものがあります。最新の用法・用量・休薬期間の記載がある動物用医薬品の説明書を確認することが重要です。動物用医薬品と同一成分を含む局方の医薬品については,動物用医薬品としての使用禁止期間は定められていないが,食品衛生法上の規制は同様に行われることになっており,その使用に際しては休薬期間に注意する必要があります。
 一方,ポジティブリスト制度が導入されたからといって,何もかもが規制されていると考える必要はありません。例えば外皮消毒剤では,その消毒剤を畜・鶏体に消毒を目的として直接噴霧又は散布した場合に休薬期間が適用されるのであって,畜舎や出荷トラック等の消毒を目的として用いたからといって休薬期間が適用されるのではないことに注意すべきです。しかしながら,食品中から消毒剤が検出された場合は食品衛生法違反となりますので,使用者は畜体への暴露が軽減さえるよう注意しなければなりません。

○動物用医薬品の投与履歴の記録

 生産者の皆様は動物用医薬品の購入記録や投与した個体を記録するとともに,動物用医薬品の指示書や出荷制限期間指示書を保管する必要があります。これらの記録は,投薬後,使用禁止期間中や休薬期間中の生産物を間違って出荷することを防ぎ,取引先へ動物医薬品等が適正に使用されていることを示すのに役立ちます。また,食品衛生法違反が生じた時の原因究明,回収範囲の特定等にも役立ちます。
 酪農家では,「酪農チェックシート」への動物用医薬品等の使用記録を始めました。他の生産者の皆様も,安全な畜産物を作るため,記録の作成,保管を習慣にしましょう。
 一方,産業動物獣医師は診療に際して農家が使用等の記録を作成できるよう,農家へ適切な情報を伝達することが必要です。

飼料等の使用に当たって

○飼料の表示票の確認

 飼料等を購入するときは,表示票が添付されていることを確認して下さい。バルク車やトランスバックにより購入する場合には,運送者から表示票を受け取り,保存することが大切です。また,飼料の保管は衛生管理に注意し,殺虫剤散布時の飛散等による汚染がないように保管する必要があります。

○飼料の対象家畜や使用時期

 表示票にはその飼料を使用できる対象家畜が記載されています。飼料添加物の畜産物中への残留や家畜への被害を防止するため,対象家畜や使用時期が定められた飼料について,これらを遵守し適正に使用するとともに,記帳等により飼料の使用記録を残すことが大切です。また,飼料添加物でも,動物用医薬品と同様に,最新の用法・用量・休薬期間の記載がある説明書を確認することが重要です。

○抗菌性飼料添加物の使用

 抗菌性飼料添加物は,添加した飼料を与えて良い家畜の種類,生育段階や添加してよい量等がきめ細かく定められています。また,抗菌性飼料添加物を含む飼料を製造する場合は,自家配合であっても飼料製造管理者の届出の手続きが必要となります。

○牧草などへの農薬散布記録

 農薬取締法に基づいて,登録された農薬をラベルに表示された適用農作物に対して,農薬使用基準を守って適切に使用する必要があります。あらかじめ使用する農薬とその使用方法を決めておき,それを基に適正に農薬を使用し,使用状況を記録していくことが大切です。

○飼料の使用記録,保管

 動物用医薬品の使用記録と同様に,万一事故が起こった場合,飼料等の適正使用について示せるよう,毎日の使用量や名称を記録し,大切に保管しておくことが重要です。

 農林水産省動物用医薬品検査所ホームページ(http://www.nval.go.jp)に最新の動物用医薬品等の情報が掲載されています。今回,休薬期間が変更になった動物用医薬品の一覧などもありますので,ぜひ,ご確認ください。
 また,独立行政法人肥飼料検査所のホームページ(http://www.ffis.go.jp/)にも食品のポジティブリスト制度導入に伴う,飼料の対応等の情報が掲載されています。