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〔普及の現場から〕

耕畜連携によるたい肥の有効利用(浅口市金光町八重地区)

井笠農業普及指導センター

1 はじめに

 平成16年11月の家畜排せつ物法の施行に伴い,県下各地で畜産農家が生産する畜ふんたい肥の有効利用が叫ばれ,耕畜連携が進みつつあります。
 当普及センター管内でも数々の優良事例が芽生えており,今回は浅口市金光町の八重地区の事例を紹介します。

2 浅口市金光町のたい肥供給状況

 金光町の畜産農家は酪農を営む遙南牧場(櫛田信正氏)1戸のみです。
 遙南牧場では昭和40年代から良質たい肥の生産に取り組み,現在では合計1,000坪の堆肥舎を活用して,10ヶ月間切り返し発酵させた完熟たい肥(商品名:ビタコンポ)を生産しています。このたい肥は脱臭発酵菌(ビタコーゲン)を添加したものに副資材としてオガクズや飼料残渣等を混合しており,平成14年度の岡山県良質堆きゅう肥共励会で優秀賞を受賞するとともにMOAの指定たい肥にもなっています。

ビタコンポ成分表

3 耕畜連携のきっかけ

 平成16年1月,当時の金光町農地流動化推進会議の席上で遙南牧場から牛ふんたい肥を町内で有効利用してもらいたい旨の申し出があり,協議の結果,持続的農業地域モデル実証展示事業を導入し,「八重地区うまい米づくり協議会」の管理のもと,たい肥利用の実証展示ほを設けたのがきっかけです。


地区での会合のようす

4 平成17年度からの動き

 実証の結果,町内畜産農家の牛ふんたい肥を活用した水稲栽培への機運が地区内で高まり,平成17年には金光町堆肥散布利用組合(加賀和三郎組合長)を畜産農家1戸,耕種農家7戸の参加をもって立ち上げ,たい肥利用ネットワーク活用事業を導入しました。この事業により,自走式マニュアスプレッダー(2.5t積み)とキャリアブリッジを購入し,たい肥の散布活動に利用しています。

平成17年度たい肥散布概要


たい肥散布風景

5 たい肥の利用促進体制

 ・たい肥代金 2,500円/t(ほ場への搬入のみ。)
 ・散布料金(機械利用料)1,500円/t

6 たい肥施用の効果

 16年度から牛ふんたい肥を施用した水田と17年度新たに牛ふんたい肥を施用した水田で,水稲(ヒノヒカリ)におけるたい肥施用効果の実証を行いました。
(1)たい肥散布量
 2トン/10a(2年連用区は前年も同様)
 ※都合により春期散布。通常は秋冬散布。
 ※施肥は慣行どおり。
(2)生育調査結果
・草丈は,たい肥の施用年数による差があまり見られませんでした。
・茎数は,たい肥施用2年連用区の方が多めに推移しました。最終的に,穂数として約5本/株の差となりました。
・葉色は,2年連用区が穂肥施用まで濃いめに推移しました。穂肥施用後,2年連用区が速やかに葉色回復したのに対し,1年施用区は回復せず,9月になって同等となりました。
(3)収量調査結果
・2年連用区は,全重が200s/10aほど,籾重が約70s/10aほど多くなりました。ワラ重はほぼ同等でした。
・2年連用区は,収量に相当する精玄米重(ふるい目:1.85o)が610s/10aで,90s/10a多くなりました。

(4)結果考察
・葉色の推移から,連用区は肥効の持続性が確認できました。
・連用区は穂数が多く,一方で遅れ穂も多かったことから,イネの生育を制御するためには生育にあわせて追肥量を加減する必要があります。

7 おわりに

 このような実証結果を基に益々地域内外へたい肥の利用が普及するとともに,耕畜の連携が末長く継続することを期待しています。