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〔技術のページ〕

粗飼料自給率向上をめざして!!
─麦わら活用編@(岡山市藤田地区)─

岡山県総合畜産センター 大家畜部 串田 晴彦

1 はじめに

 本県では「岡山県酪農・肉用牛近代化計画」において,平成27年度までに現状44.9%の粗飼料自給率を65.5%に引き上げるという目標を設定しました。これを達成するためには地域の粗飼料資源の見直しと有効利用が必要です。そこで,今回はこれまで県内で利用例の少ない麦わらについての収集実証を行ったのでその概要を報告します。

2 現地試験について

 平成18年6月3日に岡山市農協所有の面積約45アールの麦ほ場において,収量,作業時間,収集ロス等について調査しました。麦わらは,当日収穫されたビール用の二条大麦(ミハルゴールド)でした。収集には,接地圧が低いクローラタイプのT社製自走式ロールベーラ(SR900)(写真1)(以下,ベーラ)および自走式ラッパ(SW1010W)(写真2)(以下,ラッパ)を用いました。


(写真1)自走式ロールベーラ

(写真2)自走式ラッパ

 麦わらの収集形態は,ベーラの収集ロスを少なくするために主として長わら(無切断わら),対照として切断わら(切断長15p)としました。また,サイレージ化しやすいように市販の乳酸菌添加剤(繊維分解酵素入り)をロール前に電動噴霧器により添加しました(写真3)。


(写真3)添加剤噴霧

@ 材料草について
 コンバインから吐出された麦わらの長さはほ場内3カ所の各20点の平均で73pとなり,含水率は約70%と当初考えていたよりも高い値でした(写真4−1,2)。


(写真4−1)コンバインからの吐出状況

(写真4−2)材料草調査風景

A 収量,ベールサイズ
 ロールベールは30個(6.7個/10a)が収集され,サイズは幅が86p,中心部の直径は102p,重量は193s/個でした。総収量は,現物で5.7t/10a(乾物では1.7t/10a)でした。また,長わらをロールした場合は地際部と穂先部が偏りいびつな形状のものが散見されました(写真5)。


(写真5)いびつなロール

B 収集ロス
 ベーラが麦わらを拾うときのロス率は,長わらではほとんどなく,切断わらでも乾物重量比で2.7%と非常に少ないものでした(写真6−1,2)。


(写真6−1)収集ロス(切断ワラ)

(写真6−2)収穫ロス量測定

 切断わらのロスは,写真6−1のように,コンバインからの吐出幅がベーラのピックアップ幅より広いために起こっています。そのため,吐出幅をピックアップ幅より狭める工夫をすることにより更に少なくすることが可能と考えられました。
 今回は麦収穫当日の収集でしたが,時間が経過して予乾が進み,わらがすべって拾いにくくなる状態での検討も必要と考えられました。
C 作業時間
 今回の収集体系における総作業時間(ベーラ作業開始〜ラッパ作業終了)は148分で10アール当たり32.8分でした。今回の場合は,ロールの保管場所がほ場から離れていたので,保管場所を近くにすることで作業時間の短縮は可能と思われました。

3 今後の予定

 現在,調製されたベールはセンターに持ち帰り貯蔵中です。今後は,飼料成分,消化特性,発酵品質及び乳牛・和牛の嗜好性などを検討することとしています。

4 最後に・・・・・

 今回は,試験計画時に切断した麦わらは拾いにくいと考え,主として長わらによる収穫を行いました。しかし,切断幅15p(機械設定)でも,コンバインからの吐出幅を狭めることによりロスが少なく収集できることが確認されました。
 給与面及び発酵品質などを考えると切断わらによるサイレージ化が好ましいと考えられました。