ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2006年8月号 > 〔職場紹介〕開設して18年目

〔職場紹介〕

開設して18年目

岡山県総合畜産センター次長 本荘 司郎

 今回,ご紹介します私共の岡山県総合畜産センターは県下に分散していた酪農,和牛,養鶏の3試験場を統合して,新しい時代に適した研究拠点とするため,平成元年4月に県のほぼ中央に位置する現在地,久米郡美咲町(旧旭町)に移転し,開設されました。
 顧みますと,昭和60年3月,第1回岡山県農政懇談会畜産特別部会が開催されて以来,再編整備計画の策定,用地買収,造成,ゾーン整備が行われ,開設に至っています。
 今年で開設18年目に入っていますが,開設までの過程において種々の困難な問題に取り組まれた先輩諸氏の並々ならぬご努力の賜物で今日があることを肝に銘じ,本県畜産の振興に今後もより一層,寄与していきたいと考えています。
 現在の職員数は事務職5,研究職31,技術職33,計69名ですが,開設当所は事務職8,研究職38,技術職46の計92名であり,この18年間に実施された幾度かの組職,業務の見直し,行財政改革等により,職員定数は当初に比べ23名減員となっています。このような状況ではありますが,開設当初の構想にあります「新しい畜産技術開発と普及の拠点になること」及び「地域社会に開かれたセンターとして機能すること」を目指して,職員一同試験研究に取り組んでいます。
 さて,近年,研究内容が多様化しているなか,当センターの研究開発は次の4本柱を基本に実施しています。
@ 生産効率を向上させる技術
A 品質を改善する技術
B 安全・安心をささえる技術
C 循環型社会を築く技術
 最近の研究動向としては,従来からの畜産振興のための技術開発だけでなく,資源循環型社会形成のためのバイオマス研究や,畜産物の機能性,食肉の風味等について高品質な食品を求める消費者の視点からの研究にも取り組み始めています。
 さらに,研究のスピード化を図るため,関連する試験研究機関,大学,民間企業などと産学官の連携を積極的に取り入れて効率的な技術開発を目指しています。
 目新しい研究成果としては
@ 和牛の種雄牛選抜にDNA解析情報を利用したマーカーアシスト選抜手法を全国に先駆けて導入しました。
A バイオマス関連では,生ゴミと豚ふん尿を混合利用したバイオガス発電システムを実証展示し,実用化に向け取り組んでいます。
B ヘテロ型乳酸菌を利用した食品製造副産物の飼料化に取り組み,生産コスト低減を検討しています。
 また,県が推奨しています銘柄食肉である「おかやま和牛肉」,「おかやま黒豚」,「おかやまポーク」,「おかやま地どり」の地域ブランド化確立,さらには,生産能力の高い乳用牛群の育成を図るため,受精卵,精液,繁殖豚,肥育素豚,素ビナ等の種畜の供給業務にも取り組んでいます。
 次に,今後の試験研究のあり方としては,時代や畜産農家の多様なニーズに迅速に対応できる体制づくりが必要になると考えられます。当センターでは平成13年から試験研究の外部評価システムがスタートしています。今後は,地域における各種の問題点や課題の把握のため,恒常的なアンケート等の調査活動に力点をおき,併せてリサーチ情報が行政施策に反映できればと考えています。
 さらに,これからの社会情勢に対応して研究機関としの果たす役割が評価される時がきた場合,畜産農家の経営安定のみならず,県民の健康と生活向上に貢献していることが求められると思います。このため,日常の研究活動では,自分達の研究開発が世の中に役立っているという意識と使命感を県民と共有できるように働きかけ,緊張感と危機意識を持って試験研究に取り組むことが肝要であると考えています。
 終わりにあたり,当センターは開設18年目を迎えていますが,開かれた試験場が今,まさに求められており,温故知新のとおり,開設当初の理念に立ち戻って職員一同頑張って参る所存でありますので,今後とも各位のご支援を賜りますよう,よろしくお願い致します。