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〔受賞者の声〕

資源循環型酪農経営
松崎 隆氏 農林水産省生産局長賞を受賞
― 第10回全国草地畜産コンクール ―

 日本草地畜産種子協会主催の第10回全国草地畜産コンクールで 岡山市の松崎 隆さんが農林水産省生産局長賞を受賞され,6月30日東京で表彰式が行われました。
 松崎さんは現在,親子2世代夫婦で105頭の乳牛を飼育する大型経営で,都市化の進む中自給飼料生産では水田を効率利用し,延べ18haで作付けし,飼料自給率は36.1%となっています。取り組み内容も持続性があり近郊酪農の模範事例と評価されました。
 松崎さんに受賞者の声をいただきましたのでご紹介します。
 この度は,全国草地畜産コンクールにおいて,生産局長賞という朗報に恵まれ大変光栄に思っております。
 昭和46年,岡山の中国・四国酪農大学校を卒業,すぐに家業である酪農に取り組んで34年余りになりました。牛飼いなんだから,牧草作りは当たり前のことと,両親の代から面積は現在には遠く及ばないまでも,ずっと草作りを続けてきました。
 天気勝負の草作り,雨続きでトラックが入れず,雨戸の上に乗せてイタリアンを田から持ち出したこともなつかしく思い出されます。一昨年は,翌日から雨との予報の中,ロール作業を終えたのは夜中3時ということもありました。
 私と家内は21歳同志で結婚し,22歳で長男を授かりました。その長男が後継者として家業に就いたのは平成6年のこと。ところが,私たちは少しでも草を作りたいのに,息子は電話一本でパレット積みまでしてくれる購入乾草に魅力を感じていました。当然,毎月の乳代から引かれる飼料代はうなぎ登りとなり,草の大切さを思い知りました。そして,可能な限り自給飼料を少しでも増やそうとの思いで,家族でがんばってきました。その答は,すぐに明確に出てきました。
 草作りをしようという思いは様々なチャンスを吸引したのです。河川敷ではありながら,水田の地目を持つ土地5haを借り受けることとなったり,近所でも多くの水田のお守りを頼まれることになりました。
 私の住む学区は,人口13,000人,小学校の児童数は1,200人という住宅地にあります。牛舎を訪れる人々も多数いて,普通ならこんな所で酪農なんてできないという移転話のひとつも出そうな場所での経営であります。
 住宅地を背後にしての経営,酪農の原点に忠実に草を作り,フンを土地に還元し,誰もが気軽に牛舎へ遊びに来れるような経営で地域のオアシスを目指します。
 天気と相談しながら,春作・夏作共に2回刈りを目標に,今ではすっかりおなじみとなったロール体系で道行く人たちに北海道もどきを提供しています。
 緑色は人々に安らぎを与えてくれます。牛舎周囲でいつまで牧草作りが可能なのかはわかりませんが,出来るだけ長く緑の番人を続けたいと思っています。
 今でこそ米価が下落し,米を作付けせずとも牧草だけのために土地を貸してくれる地権者もあります。30人余りになる地権者との書類の交換,米作りと牧草収穫とで超多忙をきわめるけれど,妙な達成感があり,己の信じた道を歩んで来ることが出来て幸福に思います。
 広大な平地なら何十町分もの作付けも可能でしょうが,市街化を背負いながら,調整区域でも10a当たり500万ともなれば,土地を買う気はありません。お守り役として大切な土地をあずかり,緑で彩り,周囲を和ませる。牛たちはおなかいっぱい草を食べ,フンは大地にお返し,次の実りを期待する。
 息子も今では私たちの考えを尊重してくれて草作りに力を注いでいます。今回の映えある賞を我が家の経営の勲章として,今後も自給飼料生産に励みたいと思います。
 最後になりましたが,受賞のよろこびは家族の努力は勿論ではありますが,畜産協会はじめ関係機関のご指導のたまものであります。
 今後ともよろしくご指導たまわりたいと思います。

(岡山県畜産協会)