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〔家保のページ〕

「高病原性鳥インフルエンザ発生時の防疫対応について」

井笠家畜保健衛生所

 高病原性鳥インフルエンザは世界的に感染が拡大しているほか,ヒトへの感染が懸念されるなど,社会に及ぼす影響は大きく,本病が発生した時には,より的確で迅速な防疫対応が要求されています。
 また,国内でも山口県,大分県,京都府,茨城県など,発生例の増加とともに,防疫対応も変化しています。
 当家保管内では,岡山県の鶏飼養羽数の3分の1にあたる約270万羽(平成17年度)と多くの鶏が飼養されており,万一の発生に備えて,様々な角度から,防疫対応の検討を行っています。
 その中から,平成17年度に実施した調査の内容や現状について,概要の一部を報告したいと思います。

1 埋却地の調査

 殺処分鶏や汚染物品などの処分方法の1つとして,埋却があります。
 過去にも埋却地の所有状況について,農場主への聞き取り調査を行っていますが,今回は過去のデータを基に,市や町など関係機関と協力し,現地の確認,地番や所有者の確認など,詳細について調査を行いました。

 埋却地の所有状況については,92%の農場が埋却地を所有(自己地所有は84%,借地所有は8%)しており,8%の農場では埋却地を所有していませんでした。
 埋却地を所有している農場であっても,そのうち11%の農場では,飼養羽数に対して埋却地の面積が不足していました。
 埋却地の周辺環境についてみてみると,
12%が住宅地,24%が田畑,64%が山林という結果でした。
 また,36%の農場では,河川や用水路などに隣接していました(図1)。

 実際に埋却を実施する場合には,更なる調査が必要となりますが,今回の調査結果のみから判断すると,8%の農場で埋却地がなく,52%の農場で,周辺環境,水系汚染等の問題から,埋却不適地であると考えられました。
 また,埋却可能と考えられた土地を所有する52%の農場でも,近隣住民の同意など,困難が予想されます(図2)。

2 焼却処理の調査

 当家保管内には5カ所に一般廃棄物処理施設があります。これらの5施設について,現状把握と,鶏などの処理が可能な構造であるか調査を行いました。
 調査の結果,全施設において,焼却炉内への死体等の直接投入が可能でした。ゴミホッパや吸じん装置まで投入物を吊り上げる装置は4施設で設置されていました(表2)。

 今後の検討課題ですが,大規模養鶏場で本病が発生した場合,1焼却施設のみでは,処理が困難になる事が予想されますので,他の施設へ協力を求めておく必要があると考えられました。
 その他,発生農場から焼却施設までの処分鶏などの運搬中及び焼却処理施設内での感染防止措置など,具体的な検討も必要と思われました。

3 消毒ポイント

 移動制限に係る消毒ポイントについて,@幹線道路に隣接していること A交通の妨げとならない場所(公共の広場,駐車場等)であること B大型トラック2台,テント1張り程度が設置可能な広さであることを選定条件として市及び町とともに選定,検討を行いました。
 幹線道路沿いは十分な広さを確保することが難しく,道路の使用許可や占有許可の申請が必要となるので,迅速に消毒ポイントを設置するために,公共施設,関係機関所有地なども選定対象としました。これらの施設は,必ずしも幹線道路沿いではありませんが,トラックが十分に迂回可能な場所を選定しました。
 その結果,調査途中ではありますが,幹線道路沿いに7か所,公共施設等23か所の計30か所を消毒ポイントとして選定しました(図4,写真1)。

4 調査情報の整理

 農場所在地,埋却地,防疫作業従事者集合場所,消毒ポイント等,調査データをゼンリン地図ソフトに入力,整理を行いました。
 すべての調査,検討を関係機関とともに実施することで,情報を共有することができ,協力体制の強化を図ることができました。

 今後は状況の変化に応じて,随時,家畜防疫対策班マニュアルの改訂・整理を進めるなど,事前対応型の防疫推進に努めていく予定です。