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〔普及の現場から〕

「堆肥を活用したマッシュルーム栽培の取り組み」

真庭農業普及指導センター

1.はじめに

 H14年から新庄村堆肥センターが稼働を開始し,村内の畜産農家9戸で良質な堆肥生産を行っていますが,消費が伸び悩み,新たな利用方法,販路の拡大が課題となりました。
 新庄村堆肥利用組合では,冷涼な気候に適したマッシュルームに着目し,試作を試みたところ,大型で良質なキノコが発生しました。そこで,マッシュルーム生産組合を作り栽培を開始しましたが,管理方法や栽培場所の違いによりキノコの発生にバラツキがありました。
 軽量なマッシュルームは高齢者でも手軽に扱えるため,特産化が有望視されています。そこで,安定収量を確保するため,栽培管理技術の確立を目指して,平成17年度から県の夢農業チャレンジ事業を活用し栽培実証を開始しました。

2.実証計画とこれまでの成果

(1)実証計画

 安定収量を確保するため,ハウスで栽培管理方法を確立し,新庄方式の栽培指標を作成することとしました。
 また,標高の異なる村内2カ所(浦手地区標高550m田浪地区標高650m)にハウスを設置し栽培実証を行い,冷涼な気候を生かし通年栽培収穫の実証を行うこととしました。

(2)これまでの成果

 (1) 栽培管理
 記録計を設置し,菌床表面の温度・湿度変化を記録した結果,キノコの発生に適した気温は日平均で14〜24℃であり25℃を超えると発生が休止することが確認できました。
 湿度は90〜95%が適しておりハウスを閉めてしまうよりも少しサイドを開けて通風した方が発生しやすいことがわかりました。
 また,適切な温度・湿度条件が続けば,約2週間の間隔で大量発生を繰り返すという発生のサイクルが確認できました。
 (2) 収  穫
 キノコは成長が早く,1日1回の収穫で翌日に見送ると次の日にはカサが開いて,商品価値が落ちてしまいます。今回は1日1回の収穫でしたが,カサが開かない状態のキノコは全体の半分しかありませんでした。秀品率を上げるには,1日2回以上収穫することが望ましいと考えられました。
  @ 浦手地区
 4月20日頃からキノコが発生し始め,4月20日〜6月20日の収穫量は160s 程度(平均2〜3s/日,最高約20s)でした。
 夏に気温が高い(日平均気温26℃以上)浦手地区では6月末で発生が終了しました。
 今後は10月に菌を散布し11月に発生が期待されます。
  A 田浪地区
 5月10日頃から発生を始め,冷涼な田浪地区では7月いっぱい収穫が可能でした。


田浪地区ハウス


発生したキノコ(ブラウン種)

 (3) 販売等の状況

  200gのカゴ盛にして,「道の駅新庄」や「消費者への直接販売」で,1s当たり1,500円程度で販売しました。(価格はブラウン・ホワイトとも同じ)
その他に真庭市のレストランや湯原温泉の旅館などに直売する他,1s当たり1,500円で収穫体験も行いました。(これまでに10件程度の受け入れ)。
 また,新庄村郷土料理研究会で加工品を試作研究中です。


調 理 例

3.今後の課題

 (1) 栽培面の課題
 今年度の取り組みで温度・湿度などの基礎的な指標は確認できましたが,生産量向上のためには収穫期間の延長や灌水管理などの検討が必要です。
 (2) 加工流通の課題
 大量発生時には労力面や需要の面で生での販売に限界があります。そこで,貯蔵・加工の確立が必要です。
 また,流通形態として「栽培キット」を試作しており,栽培管理が確立できた暁には,主力商品として生産・流通を推進する計画です。


栽培キットの試作