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〔畜産農家の声〕

「牛飼いは,毎日が勉強だね」

新見市大佐大井野 佐藤 タマエ

 私の住んでいる新見市大佐大井野は,春は木々の若芽が何ともいえない淡い色をみせ,夏はとても涼しく,鮮やかな青葉が目にしみ,秋は紅葉が一段と美しく,冬には吹雪の日もありますが,その雪が朝陽を浴びて,ダイヤモンドをちりばめた様に美しく輝いて見えます。そんな自然の美しさに囲まれて,酪農歴40年になります。
 当時,19歳の私は,この土地で毎月の現金収入を得るためには,「酪農しかない」と思い2頭の乳牛を導入し,青春を酪農にかけました。20歳の時に主人が養子に来てくれました。しかし主人は牛飼いが大嫌いでしたが,いつしか私の熱意に負けて一緒に酪農経営をするようになりました。今では主人が中心に酪農を行っています。現在は21頭の搾乳牛,6頭の育成牛,繁殖和牛1頭の小規模経営です。
 幾たびの生産調整や公害問題とつらい思いの多い年月を,懸命に努力しながら頑張っています。その都度,多くの関係機関の皆様にご指導や励ましを頂いて,無学な私もやっと一人前の牛飼いになれたような気がしている今日この頃です。

 最近も家畜保健衛生所の先生方の指導により,搾乳立会を行いました。私なりに完璧な搾乳をやっているつもりでしたが,注意して頂く点が多くありましたが,その反面,どのように改善すると良くなるのか丁寧に教えて頂きました。私も新たな気持ちで頑張ろうと思うようになり,搾乳立会を行って,本当に良かったです。
 また,50代になって普及センターの先生のご指導のもと,パソコンに挑戦しました。今では自分で青色申告書を作成し,提出できるようにまでなりました。
 今,一番困っていることは,繁殖障害の牛が多いことと生乳中の体細胞数の多い牛がいることです。共済の先生にご指導頂きながら悪戦苦闘しています。さらに出荷乳の生産調整で,乳を多く出荷出来ないので,乳牛へ和牛受精卵を入れて,繁殖和牛を増やし,乳牛と和牛の複合経営で頑張って行きたいと考えています。
 牛飼い人生には,何十年経っても勉強に終わりがないものですね。牛に踏まれたり,蹴られたり,その都度,大声で怒り,機嫌の良いときは大声で歌を歌います。主人は「やかまし〜」と云うけれど,牛たちは愛らしい目をして,黙って下手な歌を聴いてくれています。牛舎は私のストレス解消の場でもあります。牛舎周辺は四季折々の花をいっぱい植えて,毎日を前向きに楽しく,いつまでも輝いている女性でいたいと思っています。
 これからも関係機関の皆々様,ご指導,ご鞭撻をよろしくお願いいたします。


牛舎周辺のお花たちと一緒に!