ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2006年10月号 > H19年度からの肉用牛肥育経営安定対策事業等取り組みに向けた認定農業者への加入促進

H19年度からの肉用牛肥育経営安定対策事業
及び地域肉豚生産安定基金造成事業の取り組み
に向けた認定農業者への加入促進について

岡山県農林水産部畜産課

 関係する皆様には既にご承知のことと思いますが,先般,国において肉用牛肥育経営安定対策事業及び地域肉豚生産安定基金造成事業の対象経営については,平成19年度より認定農業者を基本とした上で,認定農業者に準じる者を都道府県知事の特認により個別に認定することとされました。
 これを受け,県では,(社)岡山県畜産協会をはじめとする関係団体と連携をとり,関係する畜産農家の認定農業者への加入を促進しているところです。この頁では,認定農業者制度の概要及び特認基準の概要を紹介します。

1.認定農業者制度の概要

 我が国の農業は少子化・高齢化による担い手の減少,国際化の進展にともなう輸入農畜産物の増加,食品の安全性への認識の高まりなど,数多くの課題を抱えています。これらの課題に適切に対処し,活力と希望に満ちた農業を持続的に発展させていくためには,意欲と能力のある担い手を育成していく必要があります。
 国では,これまで担い手施策の中心として認定農業者制度の推進を図ってきており,10年以上が経過した今では,全国で20万,岡山県でも3,000を超える認定農業者が,地域農業の中心的な存在として活躍されておられます。
 平成17年度に国が策定した新たな「食料・農業・農村基本計画」において,今後農業経営に関する国の施策は,認定農業者と一定の集落営農組織に集中的・重点的に実施されることとなりましたので,未だ認定農業者になられていない農家の方もご検討いただき,認定農業者として明日の岡山県農業を共に支え,発展させていく仲間になっていただければと思います。

(1) 認定農業者になるには

 農業経営を営み,又これから営もうとする人が,ご自身が営む今後5年間の経営目標を記入した農業経営改善計画書を市町村へ提出します。市町村は,提出した計画書を市町村の作成した基本構想に照らし適当と認めた場合,当計画を認定します。この認定を受けた農業経営者が「認定農業者」です。
 農業経営改善計画書の用紙は市町村にあり,記入方法等が分からないときは,市町村役場,県の普及指導センター等が相談にのってくれます。
 なお,認定期間は原則5年で,引き続き認定農業者になるには更新の手続が必要です。現在認定農業者の方は認定期間の終期にご注意願います。

(2) 認定農業者への支援措置

 認定農業業者を対象とした主な支援措置としては,次のようなものがあります。
ア 資金の融通
・低利のスーパーL資金(農地取得も可能な長期資金),スーパーS資金(運転資金)の貸付は,認定農業者を対象とした制度です。(別に資格審査が有ります。)
・農業近代化資金,農業改良資金の貸付に際しても認定農業者の方には金利等の優遇措置があります(貸付に際しては別に審査があります)。
イ 農業者年金
・認定農業者の方には,保険料の国庫補助制度がありますので,認定農業者でない方に比べ,月々の保険料の支払いが安くて済みます。
ウ 税制の特例(割増償却)
・認定農業者の方には,機械・施設等の減価 償却費を割増計上できます。
エ 各種研修会等への案内
・県の農業普及指導センターでは,認定農業者の方を対象に様々な研修会等を実施していますが,その開催案内を送付させていただいています。

(3) 各種施策の認定農業者への集中化

 目新しいところでは,米,麦,大豆等について,これまで全ての生産者を対象にその生産割合に応じて支援していたものを,来年度よりその支援対象を認定農業者等の担い手に限ることにしています。(「品目横断的経営安定対策」)
 畜産においても,後で説明する肉用牛肥育経営安定対策事業及び地域肉豚生産安定基金造成事業については,来年度契約分から認定農業者又は特認の認定を受けた農家が対象となります。
 これを機会に,今まで関係ないと思われていた方も,一度市町村役場の農林担当部署にお問い合わせいただき,認定農業者制度について詳しく説明を受けてみられてはいかがでしょうか。

2.肉用牛肥育経営安定対策事業及び地域肉豚生産安定基金造成事業の対象経営にかかる特認基準について

 前述のとおり両事業の対象経営については,平成19年度より認定農業者を基本とすることとなりましたが,やむを得ない事情で認定農業者になれない経営については,都道府県知事の特認により個別に認定することとされました。また,農業者として認められていない農協直営農場等についても,繁殖農家や酪農家等の経営の下支えをする役割を担っており,地域における畜産の担い手に確保に欠くべからざる農場であるとの観点から,特例的に認定する必要があると判断される場合には,知事が認定することとなりました。
 これを受け,9月に岡山県の認定(特認)基準を策定しました。この基準の概要については次のとおりです。

(1) 個人の経営

 認定農業者を目指す経営体であり,以下@〜Bのすべての要件を満たすこと
1)「担い手育成計画」(組織内の担い手の育成に関する計画)を有する生産組織に属していること
2)「経営向上計画」(当該経営体の経営の向上に関する計画)を有すること
3)「担い手育成計画」が「経営向上計画」の積み上げになっており,両計画の実践を通じ,着実に担い手が育成・確保されると見込まれること

(2) 農協直営牧場等

 法人化されていない農協直営農場等については,以下〈T〉,〈U〉のいずれかの要件を満たすこと
〈T〉
1)認定農業者を目指し,5年以内に法人化または受託農家への経営移譲を行う計画「法人化等に関する計画」を有すること
2)「法人化等に関する計画」における法人化または経営移譲完了時の所得目標が,原則として,当該農場が所在する市町村基本構想の所得目標と同水準以上であること
 〈U〉
1)当該農場の所属する組織本体の経営の中で,当該農場の部門収支を明確にして,経営管理を行っていること
2)「運営改善計画」を有し,その中で,当該農場の地域における畜産生産の担い手としての位置づけや,5年後の収支目標等を明らかにすること
3)「運営改善計画」における5年後の所得目標が,原則として,当該農場が所在する市町村基本構想の所得目標と同水準以上であること

3.肉用牛肥育経営安定対策事業における契約準備

 肉用肥育経営安定対策事業の新業務対象年間(平成19年度〜21年度)に係る仮契約期間は平成18年11月〜12月であり,加入を希望する方並びに農協直営牧場は,仮契約までに認定農業者となるか,特認協議を終える必要がありますので,ご注意下さい。