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〔県民局・支局だより〕

風倒木被害地への和牛放牧取り組み事例

美作県民局勝英支局地域農林水産室畜産班

 去る平成16年10月20日,台風23号によって県北を中心に未曾有の倒木被害が発生したことは,皆さんの記憶にもまだ鮮明に残っていることと思います。
 勝英支局(以下,支局)管内においても人工林に約1,700ha(総面積:約22,000ha)の被害が発生しており,現在も懸命な復旧作業が続けられていますが,林業従事者の高齢化,担い手不足及び林業生産意欲の低下等により,積極的な利用がなされないまま,今も無惨な爪痕を多く残しています。
 そのため支局では,風倒木被害地対策と併せて,和牛振興のため,「モー大丈夫!放牧でいきいき遊休農地活用事業」のうち,総合畜産センター(以下,総畜)が行っている「和牛放牧実証展示」を実施することとしました。
 今回の実証展示圃場は,勝央町美野地区の山林で,面積は7,584uです。ここは樹齢40〜50年のヒノキ植林地でしたが,台風23号によって壊滅的な被害を受けました。地主さんも倒木の後片付けや,苗木の植樹はされたものの,それ以後の管理までは手が回らず,折角の苗木も雑草に覆われていました。
 この下草の省力管理を図るため,総畜から電気牧柵一式と放牧牛2頭の無償貸出を受け,7月28日から放牧を開始しました。地主さんには1日1回の見回りと,配合飼料の給与(野生化防止のため)をお願いしています。
 また放牧実施に際し,地主さんによる地域住民への事前説明や,総畜担当職員による牧柵設置及び和牛の飼養管理方法等の丁寧な現地指導を受け,開始当初から非常に円滑な放牧が行われています。
 現在放牧開始から約2カ月が経過しましたが,写真のように除草効果が現れており,雑草の繁殖していた土地も目に見えてきれいになっています。地主さんも「予想以上にきれいになった。下草刈りを業者に頼むと年間30万円以上かかっていたので,大変助かった。」と喜んでおられます。
 また,心配していた苗木の食害についても,牛の食べる草が十分あったため,苗木を口にすることは無く,被害は出ていません。これも今回の放牧実施によって得られた成果の一つと思っています。
 さて,風倒木被害地への放牧実施の注意点として,倒木がそのままの状態では,牛がその上を乗り越す際,足を滑らせたり,木が崩れたりする危険があることです。そのため予め倒木を搬出するか,ある程度集積しておく必要があります。今回は既に数カ所に集積してあり問題なく行うことが出来ました。
 和牛放牧はまだまだ可能性を秘めており,今回の実証展示でも,風倒木被害地においても和牛放牧が可能であることが示唆されました。これを機に畜産業は基より,同様に後継者不足で悩んでいる林業の振興のためにも,関係機関が連携し,放牧の推進を図っていく必要があると思います。


写真1(放牧開始時)


写真2(約2カ月後)