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〔職場紹介〕

「(財)中国四国酪農大学校」
〜創立40周年を迎えて気持ちも新たに!〜

1.酪農大学校の沿革

 (財)中国四国酪農大学校は,岡山県北部「蒜山高原」にある,全国唯一の酪農専門教育機関です。昭和36年12月に岡山県立酪農大学校としてスタートし,4年後の昭和40年11月に中国・四国各県ならびに兵庫県を構成県とする財団法人中国四国酪農大学校に改組され,昨年創立40周年を迎えました。
 現在,41期生(2年生)26人,42期生(1年生)26人の52人を超える若い人たちが酪農を学ぶために,遠くは関東,九州など全国から酪農大学校にやって来ています。また,卒業生は1,097人と今や千人を越え,全国各地で酪農や肉用牛の経営主や畜産関係団体や大規模牧場へ就職して活躍しています。


(総務課)左より有富主事、有富校長、片岡課長、法花さん

2.蒜山高原とジャージー牛

 学校のある蒜山高原は,西日本でも希な高原状の地形に恵まれ,四季のおりなす魅力ある自然景観を活かし,県内有数の観光地として発展してきました。この地域は,観光面はもちろんのこと,農畜産業もさかんであり,日本一の飼養頭数を誇るジャージー牛の乳製品の他,大根,そば,地元山ぶどうのワインなどが特産品となっています。
 とくに「蒜山ジャージー」は全国的にも有名で,岡山県内には現在3,000頭以上が飼育され,全国の飼養頭数の1/3を占める日本一のジャージー酪農地帯となっています。脂肪分が高く,ミネラルを多く含んだ濃厚なジャージー牛乳を元に作られる牛乳やヨーグルト,チーズなどの乳製品は大人気です。酪農大学校で飼育しているジャージー牛から搾られるミルクも,ジャージー牛乳・乳製品として,皆さんのお口に届いています。

3.学生生活

 本校では実践教育に重きを置き,1年生も入学直後から始まった牧場での実習に明け暮れています。朝5:30から始まる搾乳作業は当番制で,搾乳当番たちは眠い目をこすりながら第1,第2牧場の搾乳牛120頭と必死に向き合う毎日です。10:00から始まる授業では,早起きと専門的な講義内容とが相まってかなり強烈な睡魔に襲われている様子ですが,それでも新しい知識を少しでも吸収しようと一所懸命えんぴつを走らせています。


(教務課) 左下より芦田技師、西主任、
左上より池田技師、森本副校長

 午後の実習が終わり学校から解放されると1日の疲れからすぐに寝てしまうかと思いきや,ソフトボールや野球,テニスを暗くなるまで楽しむ様子には若さを見せつけられます。 入学後半年がすぎようとしている現在,牧場の実習も一通り覚え,少しずつデイリーマンへの階段を登っていく姿は大変頼もしく思えます。
 また酪農大学校は全寮制で,学生たちは24時間いっしょに生活しています。時として問題も起こるようですが,寮生活で育まれた人間関係には通常の友人関係では及ばない強い絆が感じられることも事実です。

4.第1牧場

 本校舎に隣接する第一牧場では,80頭のホルスタイン種乳用牛と30頭のジャージー種肥育牛計100頭が飼育されています。
 第1牧場のトピックスは,やはり新しい搾乳牛舎の完成でしょう!本校開設時から45年間利用してきた旧牛舎はその役を終え,牛たちは旧牛舎西側の一段高い場所に完成した新牛舎での快適な新生活を満喫しています。新牛舎は50頭を繋留する対尻式のタイストール牛舎で,レール移動式ユニットを8台を使用したパイプラインミルカーでの搾乳を行っており,学生たちも作業性や快適性が格段に向上した環境の中での実習に大変満足してくれているようです。


(第1牧場)左より中山場長、樋口技師、岡崎技師

5.第2牧場

 本校舎より車で10分ほど離れた第2牧場では,150頭のジャージー種乳用牛を飼養しており,蒜山の観光の中心である三木が原に放牧される本校のジャージーたちはいまや蒜山の牧歌的な風景には欠かせないものとなっています。
 第2牧場はとにかく広い!の一言に尽きる牧場で,牛舎スペースのほかに放牧・採草地や飼料畑など敷地面積はあわせて80haに及びます。牧草収穫時期の草地での作業や移動が大忙しなのは当たり前として,日常の飼養管理でも敷地内の徒歩での移動距離は相当なもので,ふっくらした体型の職員が第2牧場に配属されてスリムになる例も多々見られます。「第2牧場に行ったら痩せる!」は,酪大職員の間では常識かも。


(第2牧場) 左より北野技師、磯田技師、山田経営課長兼牧場長、長綱技師、溝口技師

6.最後に

 酪農大学校は,昨年創立40周年を迎えました。ここに至るには多くの人たちのご尽力とご協力をいただいて参りましたし,今後50周年60周年と年を重ねるにあたっては,皆様の更なるご協力をいただきたくお願い申し上げます。
 第1,第2牧場とも,年々姿を変えつつありますので是非一度おいで下さり,その変化含めて蒜山高原を楽しんでいただければ幸いに思います。