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〔家保のページ〕

高病原性鳥インフルエンザの予防対策を再確認しよう!

津山家畜保健衛生所

 17年6月の茨城県の弱毒株による大発生は一年を経過して,本年6月をもって終息宣言されました。この大発生を受けて,高病原性鳥インフルエンザの全国一斉サーベイランスが実施されました。

1 サーベイランスの状況

 (1) 全国一斉サーベイランス

 県内の対象農家は,1,000羽以上飼養している採卵鶏農場(6週齢以上の鶏を飼育している農家)116戸で,9月中旬までに実施されました。検査は,血清中のインフルエンザ抗体の有無を調べるゲル内沈降反応により実施し,全て陰性が確認されました。
 また,全国の対象農家戸数は,3,739戸で全て陰性が報告されています。


立入検査

 (2) モニタリングの状況
 県内では,5つの各家畜保健衛生所毎に1カ所の強化農場を定め,月に一度,高病原性鳥インフルエンザウイルスの分離と抗体検査を実施しています。9月現在,全て陰性が確認されています。


採材風景

 (3) 家畜伝染病予防法52条による死亡羽数の報告
 H17年6月から家きん飼養者による管轄家畜保健衛生所へ死亡羽数の報告をお願いしています。また,死亡羽数が1日で3.3%を超える場合は,個別に状況を聞き,立入検査を行うなど,早期発見に努めています。

 ところで海外では,2004年に発生した中国,東南アジアをはじめとして,2006年には,北アメリカを除く北半球の約2/3の国で発生し,既に105人が死亡しています。また,南半球でもアフリカ大陸に発生が見られるなど,未だに散発し徐々に拡がりをみせています。このような海外の状況や冬の渡り鳥到来の季節となりましたので,「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ことのないように,引き続き衛生管理の徹底をお願いします。

<参考>HPAIVの電子顕微鏡写真

2 農場での予防対策

 (1) 野鳥の侵入防止対策
 鳥類への感染防止方法は,鳥とウイルスとの接触を防ぐことです。すずめ,カラス等の野鳥が鶏舎内に侵入できないように,防鳥ネットや金網等,鶏舎の破損部分を修繕する等対策を強化して下さい。

 (2) 農場への関係者以外の立入制限
 鶏舎などの生産現場への関係者以外の立入は制限し,必要に応じて出入口に施錠するなどの措置を徹底して下さい。
 (3) 鶏舎等の消毒,衛生害獣(虫)対策
 1)農場及び鶏舎の入口には,消毒槽を設置してください。
 2)各施設や器具機材の消毒は日頃から徹底してください。
 3)鶏舎間を移動する場合,その都度,作業衣・長靴等を交換・消毒して下さい。
 4)農場・食鳥処理場・GPセンター・ふ化場等に出入りする関係者の消毒(器材,車輌等を含む)を徹底して下さい。
 5)ねずみ,はえ,ゴキブリなどの衛生害獣(虫)の駆除を強化して下さい。
 (4) 飼養衛生管理の徹底
 1)「ニワトリ」の健康状態は,毎日会うあなたが一番良く知っているはずです。日頃から鶏群の状態をよく観察し,異常がないか注意深く観察してください。
   本病が疑われる異常鶏(@急死・衰弱A顔面及びトサカなどの腫れとチアノーゼB脚部皮下の出血C咳,くしゃみ,呼吸音の異常D首が曲がるなどの神経症状)を発見した場合には,直ちに最寄りの家畜保健衛生所まで連絡願います。
 2)予防可能な疾病については,ワクチン接種を励行してください。また,体力と免疫力をつけておくために,飼料や飲水にビタミンやミネラルを添加することも有効です。
 3)万が一の発生に備え,死亡羽数・農場に出入りした人・車輌等の情報を記録してください。
 4)飲水は上水道を利用し,野鳥の糞等が混入する恐れのある池や山水等を水源とする場合は,消毒施設の設置をお願いします。


鶏舎の消毒

 日頃外部からの人や物の侵入を極力制限して衛生管理の向上に努めることは,高病原性鳥インフルエンザに限らず,あらゆる疾病対策の基本になります。クリーンな鶏舎環境つくりに励みましょう。