ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2006年10月号 > 〔畜産農家の声〕牛に優しく,人に優しく

〔畜産農家の声〕

牛に優しく,人に優しく

勝央町 植月 露子

1 脱サラ,そして就農

 倉敷での結婚生活にも慣れたころ,主人が「酪農を継ぐ。」といって帰郷。当時,主人の実家では搾乳牛を20頭飼養していましたが,就農を契機に家から近い畑を造成して現在の40頭規模の牛舎を新築,酪農生活をスタートしました。
 主人も私も酪農については知識も技術もほとんどない全くの素人。本当にゼロからのスタートでした。畜舎にサンダルで作業に行き,義父から「つっかけじゃあ仕事にならんで。」と注意されたことも。今となっては良い(恥ずかしい?)思い出ですが。。。
 私の実家も当時和牛を飼養していたことから,乳牛も同じ牛だとタカをくくっていましたが,いざ畜舎に入ると別世界。独特の臭いに慣れるまで本当に大変でした。

2 いざ,酪農

 一旦酪農をやると決めたからには,前向きにがんばろうと思い,情報誌の購読や研修会への参加,近隣の酪農家との情報交換などに取り組みました。牛のことを少しでも早く知るために,一日中牛舎の中で牛の顔を観察したこともありました。
 子供が小さかった頃は,仕事と育児のバランスを取るのに苦労しました。夏の乾草取り入れやサイレージ調製,秋の稲わらの取り入れなどで夜遅くまで作業をしていたので,子供たちには寂しい思いをさせたなあと思い返す今日この頃です。 

3 牛飼いのおもしろさ

 畜舎作業は分担しておこないます。搾乳と糞尿処理は主人,エサやりと子牛の哺育・育成は私が担当です。
 酪農はすべて自己責任で,少しのミスでも経営に影響するため気が抜けませんが,反面,努力の結果が数字に表れ,勉強し行動した分だけ自分に返ってくるという,経営を超えたおもしろさもあります。

4.牛にやさしい環境づくりの実践

 牛群検定成績を活用した乳牛改良を進めた結果,最近では平均乳量1万kgを超えました。ところが,一方でケトーシスや起立不能などの周産期病が多発するようになってきました。そこで,平成17年には勝英農業改良普及センター(当時)などのご指導を受け,エサの改善を図ると同時に,カウコンフォートにも取り組みました。
 エサについては,従来から給与しているTMRの内容を見直し,乾物摂取量を高める工夫をしました。
 畜舎構造も見直しました。扇風機は3頭に1台設置し,体温の調整を促すようにしました。水槽は連続水槽とし,水の腐敗や飲水量の不足を解消しました。牛床は10cm長くし,牛床マットを敷設しました。
 これらの改善により,最近では疾病も減り,乳量も1万s台をキープできています。

5 人にやさしく

 主人に支えられ,また良き仲間に支えられてここまでがんばってこれました。
 これからも酪農経営を続けていくつもりですが,体力的な衰えは否めません。今後は搾乳のロボット化など,体に負担の少ない経営スタイルを考えていく必要があると思っています。また,ガーデニングや読書などの趣味の時間もしっかり確保し,充実した酪農ライフを送っていきたいと思っています。