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〔共済連だより〕

家畜診療日誌

岡山南部家畜診療所 大屋 卓志

 地球の温暖化が問題になっています。気候変動に関する枠組条約,締約国会議,京都会議など新聞,ニュースでよく耳にするところです。産業活動が活発になり二酸化炭素,メタン,さらにはフロンガス類などの温室効果ガスが大量に排出され,大気中の濃度が高まり熱の吸収が増えた結果,気温が上昇し始めています。これが地球の温暖化です。このため先進国等に対して温室効果ガスの排出量を1990年比で2008〜2012年の間に一定数値の削減を義務づけています。現在,欧州共同体を含む152カ国が京都議定書に調印しましたが最大の排出国である米国の離脱が問題となっています。日本では,地球温暖化の影響により平均気温が20世紀の100年間で約1℃上昇しました。これは,世界全体の気温が約0.6℃しか上昇しないのに比べて2倍近い大きな数字です。気象庁によれば平均的な気温の上昇に加えて,近年,異常低温の発生は減少傾向にあり,逆に異常少雨は増加傾向にあります。また夏の気温が特に暑い年とそうでない年との変動幅の拡大も指摘されています。昨年の夏の猛暑や台風の記録的な襲来,世界中で発生している異常気象は地球の温暖化が原因といわれています。
 このような地球温暖化が岡山南部家畜診療所管内においても熱射病など牛の死亡廃用事故の増加と大いに関係していると考えられます。そこで平成17年および平成18年の6月〜10月の診療所管内の死亡廃用事故を簡単に調査してみました。

 平成17年に死廃事故が多かったのは6月〜11月頃まで例年にない猛暑が続いたこと,また平成18年の9月,10月の死廃事故が平成17年に比べて少なかったのは,6月〜8月は,日中35℃を超える暑さであったものの朝夕は涼しく,9月より秋が訪れ日中の気温も穏やかな気候になったためと思われました。これは先に述べた,地球の温暖化により夏の気温が特に暑い年とそうでない年との変動幅の拡大が大いに影響しているものと考えられました。
 毎年夏になると35℃以上となる気温が続き,乳牛は,体内臨界温度をはるかに超えるため乳量など生産性が著しく低下,暑熱対策に取り組むための諸経費の高騰は酪農経営を圧迫する大変な状況にあります。暑熱対策をいかに効果的に実施していくかが死廃事故を減少させ,畜産経営を安定させる重要な課題となります。地球の温暖化が夏場の死廃事故を増大させ畜産経営に損害を与える大きな要因になっていると考えられます。
 今後地球の温暖化が進むとすべての生命の存続に影響してくると言われています。今こそ世界各国がこの問題に真剣に取り組んでいかなければならないと考えますが,そのような状況の中,畜産農家は,毛刈や散水・畜舎内外の環境整備など安価な暑熱対策と組み合わせた経費削減の対策に真剣に取り組んで死廃事故低減に取り組んで行く必要があると感じます。