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〔技術のページ〕

粗飼料自給率向上をめざして!!
−麦わら活用編A−

岡山県総合畜産センター 大家畜部  
酪農飼料科 科長 長尾 伸一郎

1.はじめに

 本年7月号で,岡山市藤田地区における麦わらの収穫調製について,ロールベールサイレージ体系での収穫・調製が可能であることを紹介しました。今回は,調製したサイレージの飼料成分,発酵品質及び嗜好性について報告します。


ロールベールラッピング風景

2.飼料成分

 麦わらサイレージの飼料成分は,表1に示したように粗蛋白質(CP)が1.8%と低く,酸性デタージェント繊維(ADF),中性デタージェント繊維(NDF)がそれぞれ52.2%,76.9%と豊富に含まれていました。乾燥稲わらと比較してADF,NDFが高く粗飼料効果の高い飼料と考えられました。

表1 麦わらサイレージの飼料成分(%)

3.サイレージ発酵品質

 今回調製したサイレージの発酵品質は,表2のとおりフリーク評点25〜93点で,切断わらに乳酸菌を添加したものが最も良好でした。VBN/T−N(全窒素のうち主としてアンモニア態窒素の割合で低いほど良質発酵といえる指標)は9.1〜10.2%で全体的に良好でした。
 切断わらの発酵品質が良かったことから,発酵品質に影響が大きいのは,梱包密度に差が出る切断の有無であると考えられました。

表2 麦わらサイレージの発酵品質


切断麦わらロール開封時の状況


長麦わらロール開封時の状況

4.嗜好性

 当センターの繁殖和牛を用いて,乳酸菌を添加した長わらサイレージの嗜好性を乾燥稲わらと比較しキャフェテリア法で調査しました。牛が乾燥稲わらと麦わらサイレージのどちらに先に口を付けるかと一定時間内(今回は30分)に採食した乾物量を比較する方法です。
 供試牛は,1期間(4日間)4頭で3期間実施して,計12頭を用いました。試験方法は1頭毎に供試飼料を同容量となるようコンテナに入れて給与します。最初に口を付けた飼料にポイントをつける方法で数値化した採食順位ポイントを調査し,次に両者を30分間自由に食べさせて採食したDM量を計りました。(表3)

表3 嗜好性比較

 1〜3期通算の平均DM採食量(g/回・頭)は麦わらサイレージが520g,乾燥稲わらが175gで麦わらサイレージが乾燥稲わらより多くなりました。また,採食順位ポイントも12頭トータルで35対13で麦わらサイレージが高くなりました。ただし2期目ではDM採食量も採食順位ポイントも同じ程度になりました。これは,麦わらサイレージを開封しカッターで細断後ビニール袋に貯蔵し供試したため,2期目に入った時点で二次発酵がおこりサイレージが劣化したたものと考えられました。そこで3期目は新たにサイレージを開封し供試したので,DM摂取量も,採食順位ポイントも1期と同様な傾向を示しました。


嗜好性試験(キャフェテリア法)

5.まとめ

 以上のことから,麦わらでも,発酵品質の良好なサイレージができ,牛の嗜好性も乾燥稲わらと同等以上であり,稲わらの代替が十分可能であることがわかりました。
 今後は,乾燥麦わらのロールベール調製と嗜好性等飼料価値向上についての検討をすすめていく必要があると考えます。


農家での給与実証