ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り2007年2月号 > 〔技術のぺージ〕期待の新星「西花8号」誕生! |
名 号:西花8
登録番号:黒原4343
生年月日:H12.12.5
生産者:西林 顕
生産地:高梁市
本県では,肉量を維持しながら肉質の更なる改良を基本に優良種雄牛の早期作出に取り組んでいます。
中でも全国的にもトップクラスの肉質を誇る「利花号」の後継種雄牛の早期作出が望まれており,特に「利花号」の長所である肉質を維持・向上させながら,短所である肉量を大幅に改良させることが急務でありました。
また,近年全国的に同一血統の種雄牛が多く利用される中,遺伝的多様性を保つため,他県と異なった「岡山系の濃い種雄牛作出」が必要でした。
このような中で,岡山純系の雌牛の内,大型で肉量が期待できる「はつはな8号」に「利花号」を指定交配し,「西花8号」を作出しました。つまり,「西花8号」は,血統的に見ると4分の3が岡山系と言えるわけです(図1)。
図1 西花8号の血統
「西花8号」の現場後代検定成績を表1に示しました。特筆すべき点は肉質(特に脂肪交雑)の優秀さとその安定度です。BMS bフ平均は6.8,上物率(肉質等級4及び5規格率)も90%を占め,本県で過去最高の成績を修めました。
表1 西花8号検定成績
表2 利花号のフィールド成績
一方,課題であった枝肉重量についても「利花号」のフィールド成績に比べ約24kgも大きく,当初の目的どおりの種雄牛作出となりました。
遺伝的な改良効果(育種価)についてみると(図2),脂肪交雑で0.045ポイント,枝肉重量で49.004s,ロース芯面積で4.076f「利花号」よりも改良が進んでいることが分かります。
図2 西花8号と利花号の第24回育種価
「西花8号」の交配適正(いわゆる相性の良さ)を見るために,検定成績を母牛の系統ごとに比較しました(図3及び4)。
図3 系統別の脂肪交雑 |
図4 系統別の枝肉重量 |
脂肪交雑については,やや但馬系への交配,また枝肉重量については気高系への交配で成績が向上する傾向が見られるもののその差は小さくまたバラツキも小さいことが分かります。言い換えればどのような系統の母牛への交配でも可能であることを示唆しており,利用性の高い種雄牛であることを示しています。
以上のことから,以下のような交配に適していると考えられます。
(1) 肥育素牛生産
枝肉重量を維持しながら肉質向上を期待した交配に有効と考えられます。なお,この場合,母の系統を考慮せず幅広い交配が可能です。
(2) 繁殖素牛生産
肥育素牛生産の場合と同様,枝肉重量を維持しながら肉質向上のための交配が基本となります。特に4分の3が岡山系であることから,「岡山系への戻し交配」に最適と考えられます。
「西花8号」の産子は,今年10月に開催される「第9回鳥取全共」の第8区(若雄後代検定牛群区)への出品が予定されています。現在県下2戸の肥育農場で順調に肥育されており,全国的な活躍が大いに期待されているところです。
全共第8区の候補牛(JA阿新提供)