ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り2007年2月号 > 稲発酵粗飼料(WCS)について |
当組合の事業推進につきましては,日頃から格別のご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
さて,今年度,県から委託を受けて,稲発酵粗飼料の省力・低コスト栽培に係る実証展示ほ場を設置しましたので,その概要を報告致します。
稲の直播栽培は,省力・低コスト化に有効な反面,次のようなデメリットがあります。
(1) 出芽の不安定(入水したとき種子が浮いてしまう。スズメの食害)
(2) 倒伏しやすい(種子が土中にないため)
(3) 雑草が生えやすい(発芽時期に落水するため,除草剤が撒けない)
1)「鉄コーティング湛水直播」
実証展示:津山市綾部地区30a,長船町牛文地区30a
特 徴:鉄でコーティングした種子を水中に播種する技術で,種籾は重く沈むため,発芽後浮き苗とならない。また鉄コーティング処理によりスズメの食害を防ぐこともできます。
2)「カルパー湛水直播」
実証展示:奈義町柿地区30a
特 徴:酸素発生剤でコーティングした種子を代かきした土中に播種する技術で,土中播種のため出芽率が向上する。
「津山市綾部地区」の生産コストを紹介します。
1) 通常の移植栽培の場合
2) 鉄コーティング栽培の場合
先程の鉄コーティング栽培の場合,畜産農家はWCS2,000s(250s/ロール×8個/10a)が,24,000円で手に入ることになります。
畜産農家がWCSを給与する場合,国産粗飼料増産対策事業で10,000円/10a助成されるので,実質的には14,000円で手にはいることになります。
WCSの水分を70%とし,一般的乾草の水分を14%として換算すると,2,000sのWCSは,乾草換算で698sに相当します。(=20円/s)
一般的な輸入乾草(約40円/s)に比べ格安で手に入ります。
飼料用稲栽培展示圃
収穫
輸入粗飼料は便利な面がありますが,安全で安心な国産畜産物の供給,飼料自給率の向上を通じた食料自給率の向上,国土の有効活用,資源循環型畜産の確立などを実現するためには,粗飼料まで輸入に頼るような大家畜農家であってはいけません。
今一度,大家畜経営の原点に返って,自給飼料増産のために,ともに頑張りましょう!
生育期
湛水直播鉄コーティング処理