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〔普及の現場から〕

「牛尿処理液の飼料イネへの施用効果について」

農業総合センター総合調整部普及指導課

1 はじめに

 畜ふんの処理は施設整備の進むなか,堆肥化による利用が図られていますが,尿の処理は臭気等の発生により貯留尿を直接散布することが次第に困難となっています。
 そこで,曝気による簡易液肥化処理とその処理液を利用した飼料イネへの施用効果について,農業総合センターと東備農業普及指導センター,総合畜産センターが共同で調査した結果を紹介します。

2 調査内容

 (1) 曝気による貯留尿の簡易液肥化処理
 簡易液肥化処理法とは,尿を1〜2日かけて曝気処理するもので,曝気槽はFRPサイロを加工し,コストの低減を図っています。詳しくは,岡山畜産便り2006年10月号で紹介されています。
 曝気処理によってBODは大幅に低減し,臭気についても,アンモニアが0.1ppmにまで低減され,効果が確認できました。
 (2) 処理液(液肥)の飼料イネへの施用方法と効果の検討
 稲発酵粗飼料用に栽培しているアケボノとヒノヒカリを対象に,表−1のとおり5区設置し,液肥とたい肥の肥効の違いについて調査を行いました。

表−1 調査区

 液肥は,基肥で1.5t/10a,追肥で2.0t/10a,たい肥は3t/10aを施用しました。

3 調査結果と考察

 (1) 収穫時調査結果

表−2収穫時調査結果(収量,乾物s/10a)

 A区とC区,D区とE区を比較してみると,生育並びに収穫時の成績には大きな差は見られず,液肥の施肥効果が認められました。
 しかし,液肥を水口から施用したところ,生育にややむらが生じたことから,流入方法や時間を考慮して均質に行き渡らせる必要があることがわかりました。
 イネの成分分析では,アケボノとヒノヒカリともに大きな差は見られませんでした。
 また,硝酸態窒素の含量は各区とも0.1%以下と問題なく,カリウムの蓄積も見られなかったことから,乳用牛への給与に問題のないことが確かめられました。
 (2) 各調査区の作業時間及び生産費

表−3 作業時間(/10a)及び生産費(円/s)

 作業時間では,化成施用が0.3時間で,次に液肥施用が0.5時間,たい肥散布が0.8時間かかりました。その結果,基肥,追肥とも液肥施用のA区が少ない結果でした。(B区は無追肥)
 生産費の差は肥料代及び労賃によるものが大きく,液肥を施用することで慣行の肥培管理よりも生産コストが低減されました。

4 今後の課題

 処理された液肥は必ずしも成分が一定にはならないため,施用に際しては成分分析が必要です。現地で活用するためには,現場でできる簡易な成分分析手法の確立が望まれます。