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岡山県牛のヨーネ病防疫対策要領の改正

岡山県農林水産部畜産課

1 ヨーネ病について

 ヨーネ病は,ヨーネ菌を原因細菌とする家畜伝染病で,数ヶ月から数年の潜伏期間の後に,頑固な慢性下痢,乳量低下,削痩,貧血などの症状を示します。若齢期にヨーネ菌が経口感染して,血液検査で陽性反応を示さない時期にもヨーネ菌を排泄している場合があるので,予防対策としては,清浄な初乳の給与や早期の親子分離と衛生的な哺育管理など,日頃の衛生管理が重要となってきます。衛生管理が不十分な農場では,気づかないうちに感染が拡大しているため,飼養者から恐れられています。
 なお,国内及び県内の発生状況は図のとおりで,近年では最も発生の多い家畜伝染病となっています。なお,近年岡山県の発生頭数は北海道に次いで第2位となっており,飼養者及び関係者が協力して,懸命な発生予防及びまん延防止対策に取り組んでいます。

2 要領改正の背景

 これまでヨーネ病対策は,各都道府県がそれぞれの実施方法で防疫対策に取り組んでいましたが,全国で統一して取り組む必要があるため,国は,平成18年11月1日「牛のヨーネ病防疫対策要領」を公表しました。国の要領作成に当たっては,原案作成の当初から,岡山県も委員として参加し,これまでの岡山県の防疫方法に準じた内容となるように多くの要望をしてきたところです。
 この度,岡山県の要領を国の要領に準ずる文章に改正しました。文章や構成が旧要領と大きく異なっているため,大きな改正に感じられる部分もありますが,検査間隔や回数などほとんどが,旧岡山県要領とほぼ同じ内容となっています。

3 岡山県の新要領について

 (1) 農場の分類

 ヨーネ病の発生状況により,農場を2つ(カテゴリーTとカテゴリーU)に分類して,それぞれに発生予防対策,発生時の防疫措置,まん延防止対策がまとめられています。簡単に言うと,カテゴリーTは陰性農場,カテゴリーUは防疫対策実施中の農場と考えてください。
 なお,岡山県では,当面,乳用牛,種雄牛及びこれらと同一施設で飼育されている牛を対象として,2年に1回のサーベイランス検査を継続実施します。肉用繁殖牛のみ又は肥育牛のみを飼養する農場は,県要領の対象としていませんので,分類の対象にもなりません。
 全国では19都道県が,全ての乳用牛及び肉用繁殖牛をサーベイランスの対象としています(H19.3月)。

 (2) 発生予防対策

 発生予防対策は,旧要領にはなかった項目で,牛の飼養者が,適切な衛生管理を行うと共に,牛を移動させる際には証明書を添付することとしています。
 農場カテゴリーT証明書は,農場に対する分類の証明書で,カテゴリーT農場のその個体を含めた全ての牛の検査証明となります。ヨーネ病検査証明書は,やむを得ず,カテゴリーUの農場から移動する牛個体に対する検査の証明書ですが,カテゴリーU農場の牛については,移動の自粛をお願いしています。
 ヨーネ病の農場への侵入は,感染した牛の導入による場合が多いと考えられていることから,出荷農場,導入農場及び取引を仲介する関係者の皆様に対して,乳用牛を移動する場合には証明書を携行するように,御理解と御協力をお願いします。証明書は,家畜保健衛生所が発行しますので,出荷を予定している酪農家の方は,事前に申請してください。
 なお,肥育専用農場へ出荷される肥育牛,及び廃用となり肉用として出荷される乳用牛については,まん延のリスクが低いと考えられることから,証明書は必要ありません。

4 終わりに

 ヨーネ病の清浄化に向けた,飼養者,団体等の関係者,及び行政の方々の協力をお願いして説明を終わります。
 紙面の関係で概略の説明になっていますので,不明な点は最寄りの家畜保健衛生所にお尋ねください。