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〔共済連だより〕

「また,また,夏到来 先手必勝!」

家畜臨床研修所 谷  孝介

 葦は,江戸時代以前から屋根や天井材などに使用されていたと思われ,江戸時代には葦簀(よしず)がつい立やスダレとして利用され,夏場の涼を求めた先人の知恵により完成されました。葦簀は夏の牛舎風景としてよく見られていましたが,最近は送風機にとってかわったのか,あまり見られなくなりました。
 葦簀は牛舎に入いる太陽光,特に西日や反射熱をさけ,牛舎内温度の上昇を抑える目的で使用されていました。
 今回,西日対策として送風・強制換気がなされている酪農家で,葦簀の効果を確かめてみました。
 結論からいいますと葦簀を用いると牛舎構造にもよりますが,温度を2℃〜3℃下げていました。高額な冷房設備を整えることを思えば,葦簀を用いて2℃〜3℃下げることは清涼効果が大変高いと言えます。
 葦簀は,外壁に立て掛けることにより葦簀と窓,壁との間に空気層ができ,室内に伝わる熱をカットしてくれる効果があります。
 乳牛の場合,体感温度18℃までで1分間に40回程度の呼吸回数を維持していますが,この18℃を過ぎると呼吸数の増加として,ストレスの症状がみられます。この場合,室内温度に注意し送風の強度を高めます。
 風の場合は,風速2m/秒の風で体感温度を8.5℃下げ。風速1m/秒で6.0℃下げるデータがあります。
 牛舎内温度が34度であれば,風速2m/秒の風により体感温度を8.5℃下げ。更に,葦簀により熱射を遮り,牛舎の壁や床の温度を上げないことにより,2℃〜3.0℃気温を下げることによりストレスの軽減を図ることができ,電気代の節約にもつながります。
 今回調査した酪農家では,西日をカットすることにより,寝ている状態の牛が多かったこと。呼吸数や夕方からのエサの食込み状況をみたとき,暑熱ストレスの緩和に効果があったと考えられます。
 葦簀の立て掛けには,通風,換気が支障なく行えている状態で,湿度や有害ガス(アンモニア,二酸化炭素など)の排出に注意を払う必要があります。
 一口に換気と言っても,その状態を確かめるには,タバコ等の煙が72秒で牛舎の外へ出ればOKと言われています。
 風を当てる場合(縦断方式):お尻ではなく首筋から背中に(この場所で風速2m/秒〜3m/秒)風が当たるようにして,直径1.2mの換気扇では牛床に対して60度の角度で6m間隔,約5頭に1台の設置が指導されていましたが,最近では3頭に1台の設置が望まれています。
 細霧を加えた場合,牛体の75%が濡れ,風により牛体が乾燥するサイクルで,水量や風量を調整します。
 通常3分間の細霧(約120mL/分)と6分間の風(風速2m/秒)により,細霧のサイクルが指導されています。(九州農業試験場)
 牛体表面は2分程度で乾燥がみられますが,更に4分程度の風により完全に近い状態まで乾燥させます。
 この細霧のサイクルにより体表温度は,更に2℃の低下をみるとされています。
 下記は福井県畜産試験場での,細霧装置の時間設定として報告されたものです。

舎内温度 噴霧時間 休止時間
32℃以下 15秒 45秒
32〜35℃ 30秒 30秒
32〜35℃ 45秒 15秒

 細霧のサイクルにはいろいろな方法が研究されています。
 暑熱対策として,「清潔な水」,「毛刈り…体温0.2℃低下」,「寒冷紗」,「木陰」,「乾草の切断長」「屋根裏温度を遮断する」など,出来る所から暑熱対策をすすめましょう。