ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2007年7月号 > 〔畜産農家の声〕フォーベルネット会員 山本登美子さん |
フリーバーン牛舎
笠岡市の山本恵之さん,登美子さん夫妻は以前は井原市で酪農経営を行っていました。当初,昭和43年頃には乳牛20頭を飼養していましたが,徐々に80頭位まで増頭しました。未来に希望を持って酪農に取り組みたいという思いから牧場の名前は『希望園』としました。さらに,大規模経営を目指して平成2年に笠岡湾干拓地に入植しました。平成13年にはフリーバーン牛舎を増設するとともに,全国的にも珍しい40頭用大型ロータリーパーラーを設置し,現在では約400頭を飼養しています。1時間で250頭の搾乳を行い,1日3回8時間毎の搾乳による乳量アップを図っています。数年前から飼料用トウモロコシの2期作栽培に取り組み,トウモロコシサイレージの給与による飼料費の低減にも力を入れています。
バンカーサイロとトウモロコシ畑
牛の改良にも熱心に取り組み,共進会などで数多くの賞を受けておられます。
このような牧場運営のなかで登美子さんは牧場の作業の他に,牧場従業員や海外からの研修生のまとめ役を務めたり,パソコンで農業簿記をつけるなど経営にも深く関わっています。
笠岡湾干拓酪農婦人部や,岡山県の農業士の活動などにも積極的に参加されています。婦人部では牛乳料理の研究も行っており,生乳を用いたモッツァレラチーズの加工研究などの活動が認められ,平成12年度には『婦人グループの生活・生産活動に関する表彰』で農林水産省経営局長賞を受賞されました。農業士の活動では肥育農家や,採卵鶏農家,果樹農家など,他分野の人と知り合うことができ,勉強になっています。
井原市から干拓地に入植して良かったことの一つは仲間がいることです。井原市ではまわりの酪農家が次々と離農していき,相談する人がいませんでした。しかし,干拓地では同じ畜産という目標を持って入植した人達がまわりにいます。そのため,良い意味でライバル意識が芽生えて競争することができるし,話し合って協力することもできるようになりました。
仕事以外に,水泳に通ったり木目込み人形(型枠に布地を埋め込んで衣裳を着せたように見せる人形),アメリカンフラワー,染め物などの手芸をしたりと趣味も多く持っています。今はパン作りを習っていますが,牛乳を持って行ってカッテージチーズの作り方をみんなに教えたりして喜ばれています。
年中行事も大切にしていて,干拓地では夏に花火があるので,毎年知り合いを呼んで鑑賞会をしています。人気が人気を呼び,年々人数が増えていっています。
木目込み(きめこみ)人形
おおらかで活動的な登美子さんですが,先進的な大型酪農に取り組んできた夫の恵之さんのことを,常に前向きで新しいことに挑戦していく人だと信頼しています。また,息子さんには両親の培ってきた酪農の基盤を息子さんのやり方で動かして,自分なりの花を咲かせていってほしいと期待しているということです。
最後に,登美子さんが生き方として大切にしていることは‘出会いそれぞれ福の神’いい人に出会えば幸せになる,出会った人と楽しく,仲良くして生活していくことです。新しい出会いもこれまでの出会いも大切にして,笑顔を大切にこれからも過ごしていきたいと考えています。