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倉敷普及センター管内の新しい取り組みの紹介

倉敷農業普及指導センター 森 山 靖 成

1 今年度の普及指導重点課題
 稲発酵粗飼料(以下WCS)供給システムの確立という課題について,今年度からその実現に向けて活動しています。
 活動対象は,倉敷市弥高酪農組合(玄馬正夫組合長8戸,乳用牛273頭,肥育牛34頭)の畜産組織と,くらしき東受託者の会(倉敷市及び早島町の稲作受託者組織:田中肇会長 48戸,受託作業面積135ha)です。
 普及センターでは,耕畜連携課題であるため,作物担当と畜産担当がコラボレートし,活動を展開しています。

2 農家の現状
 管内の畜産(酪農)農家は,給与粗飼料のほとんどを輸入乾草に頼っていますが,飼料価格の高騰,品質の不安定等により,継続かつ安定供給に対する不安を感じているため,安定した国内飼料供給体制を望んでいます。
 耕種農家においては,遊休農地の増加,生産調整(転作)の達成困難,大規模農家の受託能力の限界などが見え始め,有望な転作作物が求められています。

3 目標・あるべき姿
 耕種農家(主に担い手農家)が稲WCSを栽培し,収穫調製作業をコントラクター組織が受け持ち,畜産農家が利用する耕畜連携システムを構築し,将来的にも安定した生産と供給を図ることを目標にしています。
 このシステムにより,畜産農家においては国内産の安全な粗飼料確保と自給率の向上が図られ,耕種農家では,労力分散と水田の効率的利用が可能になり,担い手の規模拡大や農地集積が進みやすくなります。

4 課  題
 (1) 畜産農家及び耕種農家の稲WCSに対する不安の解消と取り組み促
  ア 先進地事例調査(6月5日)
 大規模なほ場整備水田を活用し,7戸の畜産農家が11ゥで稲WCSの生産・利用を行い,自給飼料の低コスト生産を実現している岡山市西大寺幸田地区を訪問しました。
 参加した弥高酪農組合員は,低コストで,品質の安定した粗飼料としての稲WCSが供給されれば,前向きに検討したいとの意向を持ち,興味を深めました。

岡山市西大寺 出射牧場 粗飼料供給基地

  イ 先進地事例調査(8月27日)
 コシヒカリと稲WCS専用種「クサノホシ」を栽培している新見市哲西町を訪問しました。
 きらめき広場哲西で,稲WCS利活用推進や昨年の収穫状況報告について,備中県民局農畜産物生産課,普及センターが説明した後,現地での品種別の生育確認とともに耕種農家の稲WCS栽培についての収益性や今後の展望を聞き取り,倉敷地域での栽培推進の参考にしました。
 この取り組みは,普及センターの働きかけにより実現したもので,倉敷市地域水田農業推進協議会及び備中県民局(岡山県水田農業推進協議会)主催で開催し,6月に田植え準備で参加できなかった水稲栽培農家や米政策に係る担当者も多数参加し,積極的な意見交換がなされました。

新見市哲西町青谷営農組合

  ウ 展示実証ほの設置
 目的:自給飼料の増産のため,転作田を利用し飼料用稲を栽培し,耕畜連携を図る。
    栽培概要
     品  種:アケボノ
     前作状況:大麦収穫直後
     は  種:5月26日
     移  植:6月25日
     栽培密度:30p×22p
     施肥量:窒素8s,リン酸4s,カリ4s/10a
     担当農家:くらしき東受託者の会
           (事務局:JA岡山西くらしき東アグリセンター)
 普及センターでは,稲の生育調査等を通じて,稲WCSの収穫・調製作業のコスト等を検討します。

移植直後の展示実証ほ ポンプアップ中の生育調査

 (2) 稲WCSの収穫から運搬までの体制確立及び機械整備の推進
 弥高酪農組合員8戸の内,1戸がベールグリッパーを持っているだけで,他の農家ではフォークリフトしかありません。
 この春に,麦わらロールサイレージ運搬を試行したところ,パレットやロープを上手に利用してロールベールを移動できることができました。
 また,水田地帯から自己所有でのトラック運搬は効率が悪いことがわかってきました。
 牛舎までの運送と経営内での移動について,10月の収穫・運搬時に意見集約を行います。

フォークリフトならではの技ですが... 2トンダンプで120cmのロール3個は残念

 (3) その他
 耕畜連携が継続するための稲WCSの料金設定と連携システムの確立を最終目標としています。そのためには,稲WCS栽培面積の拡大と団地化を推進すると同時に,市町単位での産地づくり交付金や助成金の影響が大きいため,行政を含めた関係者で米政策について検討します。