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肉畜価格安定事業

岡山県畜産協会 価格安定部

 最近の畜産を取り巻く環境は,国内情勢はもとより国際情勢によって日々変化し,最近では,豪州との自由貿易協定(FTA)交渉にエタノール問題等々外圧によって,国内の畜産経営にとっては,予断は許せない状況となっています。
 そうした中,我が国においては,各品目とも最悪の事態に備えて各々の経営を最低限担保する価格安定制度があります。「制度への加入はされていますか!!」「今は大丈夫?」
 価格安定部では,二つの価格安定事業を行っていますので,内容及び情勢を報告します。

肉畜価格安定事業
1 肉用子牛生産者補給金制度

 この制度は,肉用子牛の価格が低落し,保証基準価格を下回った場合に,生産者に対して補給金が交付される保険のようなものです。この場合は,国(機構)からの交付金が財源となります。最近の加入頭数及び交付金額は,表の通りです。



 こうした中,黒毛和種については,「発動もないし!!」保証基準価格(304千円)が安いから,加入しても意味が無いとよく言われますが,それは間違った解釈で,そもそもこの制度は,畜産農家の経営の安定と畜産振興に資する施策を実施するための法律であります。黒毛和種の本県の加入率は80%程度であり,加入促進を実施しています。特に,岡山県では新規に和牛を飼養された生産者分(積立金)は,当協会の事業により補助され不要です。今後,制度加入者(牛)のみが各事業参画対象者という事も想定されます。「基金へ全頭加入して,経営の安定,安心を図りましょう!!」。

2 肉豚価格安定事業
 肉豚価格安定事業は,肉豚需要の増大に対処して肉畜の価格安定を図り,肉豚生産農家の経営の安定と食肉の安定供給を目的に発足した事業です。最近の肉豚市況は,比較的安定しており,最近における交付状況は表の通りです。



 又,黒豚対象豚も同様の傾向にあり,14年〜18年度での交付状況は7,660頭で28,369千円交付となりました。
 平成19年度は,第5業務対象年間(H19年〜H21年度)がスタートし,肉豚市況も順調に推移し,現在に至っています。
 一方,今回から事業参加者要件として,新に認定農業者もしくはそれに準ずる者(特認)という条件が加わり,そうした中,事業参加者は,法人7者,個人4者の計11者の参加があり,契約頭数においては,一般対象豚で50,700頭,黒豚対象豚3,040頭,合計53,740頭となりました。
 おわりに,配合飼料価格の高騰を受けて生産現場においては,配合飼料価格安定制度の補てん金を差し引いても実質的農家負担となり,ギリギリのコスト削減が求められる時代となり,自らの経営を担保するためには,各種安定制度への加入が必須条件ではないでしょうか。不明な点等がありましたら,地元JAまたは畜産協会までお問い合わせ下さい。