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配合飼料価格安定制度

岡山県農林水産部畜産課

1 はじめに
 米国でのエタノール向け需要等の増加により,トウモロコシ価格が急騰するなどして,穀物の国際的な需給状況が変化し,わが国での配合飼料価格が上昇しています。わが国で流通している配合飼料の原料は,多くを輸入に依存しており,急激な価格の上昇により,畜産経営に大きな影響を及ぼします。そこで,影響を少しでも緩和するために配合飼料価格安定制度があり,今回は,制度創設の経緯や仕組みについて解説します。

2 制度設立の経緯
 昭和38年以降,米国の港湾ストやベトナム戦争による海上輸送運賃の上昇,米国内の干ばつ,西欧諸国の穀物需要の増加などから,米国内の穀物価格が上昇しました。その結果,それまで安定的に推移してきた日本国内の配合飼料価格が38年から40年にかけ,半年ごとに連続して値上げされる事態となりました。
 このように飼料穀物の国際的な需給の変動が,日本国内の配合飼料価格に反映されるようになったことから,飼料需給安定法に基づき飼料の価格の安定を図るための制度創設が求められました。このため,43年に民間基金として,現・全国農業協同組合連合会が「全国配合飼料供給安定基金」を,全国酪農業協同組合連合会が「全国乳牛配合飼料価格安定基金」(後に全国畜産農業協同組合連合会,全国開拓農業協同組合連合会及び日本養鶏農業協同組合連合会を加え「全国畜産配合飼料価格安定基金」となった)を設立し,現行の通常補てん制度の基礎が整備されました。
 昭和47年以降,世界的異常気象による穀物の大減産や旧ソ連の穀物大量買い付け,さらには米国での不作等が重なり,世界の穀物需給はひっ迫したため,トウモロコシやこうりゃんの価格が上昇し,海上輸送運賃の高騰と併せて,飼料の輸入価格が高騰しました。このため,わが国の畜産経営は大打撃を受け「畜産危機」といわれる深刻な事態となりました。その間,それぞれの基金が対応したほか,48年には(協)日本飼料工業会も商系の基金として「全日本配合飼料価格安定基金」を設立し,対応しました。一方,国は恒久的対策として,民間基金と連携して飼料穀物の異常な価格変動に対応するため,配合飼料価格安定制度を創設することとし,昭和50年6配合飼料価格安定特別基金(現・(社)配合飼料価格安定供給機構)を設立しました。
 これらの措置により民間が行う通常補てん制度と民間及び国が協力して行う異常補てん制度が一体的に機能し,畜産経営に与える影響を緩和する現在の制度として確立されました。

3 価格差補てん制度
 価格差補てん制度には「通常補てん」と「異常補てん」の2つの制度があります。補てん金の交付は配合飼料価格の上昇の度合いに応じて,通常補てん金のみが交付される場合と異常補てん金の交付が伴う場合があります。
 通常補てん制度は畜産経営者および配合飼料メーカーが積み立てた基金(民間基金)から当該四半期の配合飼料価格が直前1カ年の配合飼料価格の平均価格と比べ,これを上回った額が交付されます。また,補てん金を除いた生産者負担額が,直前の四半期比で4%を超えた場合に,その差額を上乗せします。一方,異常補てんでは,通常補てん額が高額となった場合は,通常補てん制度における基金の枯渇が懸念されるため,これを補完する形で,国と配合飼料メーカーが積立てた基金から,輸入した飼料原料の価格が直前1カ年に比べて15%を上回り,上昇した場合に発動し,2つの制度が一体的に運用されています。

補てん金算定例
 通常補てん金単価算定例の前提条件(配合飼料1d当たり)
 前年1−3月期から10−12月期までの間,価格据え置き


補てん金の算定例
 10−12月の通常補てん価格を求める。
○直前1年間の配合飼料価格の平均価格
(40,000円(前年10−12月)+44,000円(前年1−3月)+46,000円(前年4−6月)+48,000円(7−9月))÷4=44,500円
○しかし,直前四半期の生産者負担額に104%を乗じた額は42,500×1.04=44,200円であり,これを超える部分を補てんする。
7−9月の配合飼料の価格は50,000円であるので,50,000円−44,200円=5,800円を通常補てんする。