ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り2007年11・12月号 >高梁市大池山育成牧場は預託募集中です!!

〔県民局・支局だより〕

高梁市大池山育成牧場は預託募集中です!!
(公共牧場での飼料費節減の取り組み)

備中県民局高梁支局 畜産班

1 はじめに

 高梁市大池山育成牧場は,65haの牧場面積のうち18haを採草地として利用していますが,生産コストに対する飼料費の割合は約1/2を占め,牧場経営の安定,向上を図るためには,飼料費の節減が最も重要な課題となっています。公共育成牧場の存在は育成コスト低減や作業の省力化など地域畜産における役割も大きく,高梁支局としても当牧場の経営改善に重点的に取り組んでいます。

2 飼料費節減の取り組み

 (1) 自給飼料の生産量の向上
 当牧場の18haの採草地を職員のみで対応するには効率的な作業体系の導入が必要となります。堆肥散布については,播きかえ時を中心に散布を行ってきましたが,山の上に点在する採草地の土壌成分や土質を再調査し,適正な堆肥投入量を定めました。これにより圃場による作業配分が明確となるとともに,堆肥の有効利用を図りました。更に本年度から永年牧草の一部を秋冬作(イタリアンライグラス)と夏作(ミレット)の体系に切り替えて収穫適期を分散する等,作業が集中しないような作付け体系を模索中です。
 これらの積み重ねにより,本年度の自給飼料の生産量は,昨年比で125%の増収になっており,乾草購入費用を50円/kg(水分は便宜上無視)で計算すると年間生産量110,000s×25%×50円=1,375,000円の経費削減につながっています。
〜生産量アップで137万円也!〜

 (2) ロスの少ない草架の設置
 当牧場ではロール乾草の給与に草架を利用していますが,草架の周りには食べこぼした粗飼料が散乱し,かなりの量が無駄になっていました。そこで採食部の形状を斜めにすることで,20%程度あった採食ロス率が5%に減少するとの大分県の報告を紹介し,安価な間伐材を利用して改良に取り組みました。採食ロスは計測中ですが,改良前後の草架を並べたところ,草架周辺の食べこぼしは明らかに減少していました。ちなみに,草架の材料費は約15,000円です。(間伐材8,000円,角材3,000円,金具等4,000円)

 粗飼料の全てがこの草架を通じて給与されるわけではありませんが,仮にロス率が計算どおり15%軽減されると考えると算出される節減経費は,この草架での年間給与量60,000s×15%×50円=450,000円となり,その効果は非常に大きいと期待しています。
〜ロスを減らして45万円也!〜

 (3) 未利用地の有効利用
 次なるコスト低減の標的は放牧地の拡大です。写真は十数年間放置されてきた山肌の放牧地跡ですが,既存の鉄柵に約200mの電気牧柵を追加整備して1.5haを囲い,牧場所有の採卵用和牛4頭を放牧して復活させました。灌木やイバラの刈払いも必要でしたが,放牧1か月後の風景を見ると牛の能力に改めて驚かされます。現在,数種類の牧草種子を蹄耕法で作付けし春に向けた準備をしています。現状は野草地であり10a当たり年間牧養力は乾物300s程度しかないとしても300s/10a×1.5ha×50円=225,000円の乾草購入費が浮いたことになります。今後は,牧養力を高めるため当牧場の気候条件に適した草種の選定も行っていく予定です。
〜放牧活用で22万円也!〜

3 今後について

 これら飼料費の改善により137万+45万+22万≒200万円のコスト低減が実現できたと大雑把な計算をしていますが,取り組むべき点はまだまだ多数あり,経費,実効性を考慮し,出来ることから早く行動に移すよう心がけています。