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〔家保のページ〕

 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の脅威から養鶏農家を守るために  

 津山家畜保健衛生所

■HPAI流行の季節が来ました!

 高梁市の発生農場が6月に経営再開し,県内には二度と発生のないことを祈る毎日ですが,また流行期を迎えようといています。

【H5N1亜型の発生状況】

http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/toriinf-map.html

 HPAI のうち,H5N1 亜型は世界的に多発しており,家禽への病原性が強い上,人への感染が確認されており,アジア,ヨーロッパ,アフリカを中心に今も発生が続いています。

 既に中国(広東省広州市)では今年9月5日にアヒルでH5N1亜型による発生が確認され,約3万6千羽の殺処分が行われたとの報道がありました。
 日本へウイルスを運ぶとされるカモたちは全国で約200万羽,岡山県にも2〜3万羽規模で10月下旬頃から飛来してきます。
 気を引き締める意味から,HPAI について再考してみたいと思います。

■H5N1はいつ,どこからやって来る?

 日本への侵入時期については韓国での発生が一つの目安になると言われており,それは韓国が中国からの野鳥の渡りルートになっていること,過去の発生事例について日本と韓国のウイルス遺伝子が一致していること,感染源となる水禽の農場が日本より多いことなどが根拠になっています。事実,2004年と2007年には,日本より早い時期に韓国で発生しています。

 なお,2007年に日本で発生した H5N1 はいずれも2005年にカモ等が大量死した中国青海湖タイプが起源と言われ,2004年で日本で発生したものと,また東南アジアで流行しているものと異なっており,水禽類にも病原性があることが異なる点です。

■発生を防ぐために

 WHO によると H5N1 亜型は2003年から現在までに331人が感染し,203人が死亡しています。今のところは人には感染しにくいタイプですが,いつ人型(新型インフルエンザ)に変異するかわかりません。
 養鶏農家を守るためにも,また新型インフルエンザへの変異をさせないためにも,関係者が総力を挙げて対策を講じていかなければなりません。しかし,「どうしたらHPAIの発生を抑えることが出来るか?」です。
 ワクチンは感染を防御しないなどの理由から日本では使用が認められていません。今のところ唯一の有効策としては,ウイルスの農場への侵入防止です。
 ウイルスの運び屋は図のとおりで,対策はオーソドックスなものばかりですが,レベルを他の病気より上げる必要があります。(詳しくはH19年10月全国衛指協「HPAI の発生を防止するために」を参照)

 進入経路を完璧に断つのは困難ですが,生産者には最大限の努力をお願いします。発生時に国から発生農家に支払われる手当金(殺処分等に対する補償)は評価額の8割が上限であり,経営再開は早くて約半年後。つまり生産者は廃業の危機に曝されますし,周辺(移動制限区域)の生産者や食鳥処理場等へも被害を及ぼしてしまうからです。

■被害を最小限に!

 たとえ発生しても,ウイルスの拡散を防ぐことは,まん延防止の観点からも,人の公衆衛生面からも大事です。まん延防止の基本は,早期摘発と早期防疫措置です。
 早期摘発のためには,生産者が大量死する前の段階で,特徴的な臨床症状や状況をキャッチして,家保へ通報する事が大事です。

 なお,簡易検査はウイルス量が少ない場合などに陰性になることがあるので,絶対的な信頼を置くのは危険です。宮崎の2例でも,民間獣医師による簡易検査では陰性でした。ですから簡易検査は細心の注意を払い,陰性でも継続して観察したり,ウイルス分離を試みるなど,状況に応じた対応が必要です。

■発生に備えて(今後の課題)

 今年発生例の防疫措置の概要は表のとおりです。やり方は状況により変わりますが,焼却施設や埋却地の確保は,特に要になる部分です。より迅速でより的確な防疫措置を行うためには,平常時からの準備が大事です。

 生産者,県,市町村,農協,その他関係者が気持ちを一つにして,養鶏農家をHPAIの脅威から守るため,国民の安全のため,一丸となった取組をお願いします。