ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り2008年1月号 >受精卵移植で拡げる地域の輪〜東備畜産研究会〜

〔県民局・支局だより〕

受精卵移植で拡げる地域の輪〜東備畜産研究会〜

備前県民局東備支局畜産班

1.はじめに

 東備畜産研究会は,酪農・肉用牛農家が減少するなか,広域的な農家組織の必要性が提唱され,平成15年に東備農業普及指導センターを事務局として発足し,現在,会員21戸が,研修会等熱心に活動しています。
 今年度から会員が連携して受精卵移植による和牛増産に取り組むこととなったので,その概要について紹介します。

2.経緯,取組内容等

 肉用牛農家は,以前より育種価の高い優良牛の導入を進めており,この牛から採卵し,受精卵移植によって和牛を増産する意欲が高まってきました。また,研究会の活動を通じ会員が情報交換するなかで,酪農家も賛同する気運となっていました。
 しかし,農家同士直接では,価格や条件等の交渉が難しく,中立的な機関が調整を行うシステムの構築が求められ,東備畜産研究会が主体となって採卵から移植に至る一連の業務を「おかやま和牛増頭ネットワークモデル事業」を活用して実施することとし,関係規約等を整備しました。
 採卵,移植を希望する会員は,研究会に申し込み,研究会が採卵や移植を手配,必要経費を支出します。肉用牛農家と酪農家は生まれた子牛の取扱について契約を結ぶことにしています(図1)。
 また,採卵で得た受精卵の半数は,酪農家の要望に応じた利用が可能としており,酪農家の新たな肉用牛生産への取組を支援できるようにしています。

 今年度は,肉用牛農家2戸,酪農家5戸で取り組んでおり,採卵3頭,移植20頭を予定しています。

3.終わりに

 今後は,さらに事業を推進し,来年度は,採卵4頭,移植25頭を予定していますが,会員の酪農家は戸数,頭数とも少なく,移植頭数に限界があるため,隣接地域の酪農家の協力も得ながら,受精卵移植の輪が拡がることを期待しています。