ホーム岡山畜産便り岡山畜産便り2008年1月号 >飼料イネ「クサノホシ」の地域適応性検討

〔普及の現場から〕

飼料イネ「クサノホシ」の地域適応性検討

新見農業普及指導センター

 新見市では平成18年度より飼料イネ専用品種「クサノホシ」が導入され,地域での栽培について実証が行われました。
 今年度も新見市農林業振興技術者連絡協議会畜産部会では飼料イネ専用種「クサノホシ」の栽培技術確立を目的に移植時期,裁稙密度,施肥,栽培地域等を検討し,生育や収量の調査を行いましたのでその成績の一部をご紹介します。

<実施方法>

・飼料イネ専用種(クサノホシ)の移植栽培による
 移植時期 慣行 6月10日移植    遅植 6月20日移植
 裁稙密度(条間×株間)慣行栽培(31p×18p前後) 疎植栽培(31p×29p前後)
 施肥方法 追肥有り,追肥無し
 栽培地域 新見市哲西町 新見市神郷
 これらの条件を組み合わせ,
生育調査  出穂期,桿長,穂長,穂数,葉色,倒伏の程度,病害虫・雑草の発生状況等
収穫時調査 生草収量,乾物収量等の調査を行いました。
 また,参考として哲西町のコシヒカリもあわせて調査しました。

<結果の概要>

  成育調査

表−1 生育状況(出穂期,桿長,穂長,穂数,葉色,倒伏・病害虫の発生等)

・追肥をすることで桿長が長くなる。
・裁稙密度で比較すると,疎植栽培にすることで一株当たりの穂数が多くなる。
・移植の時期は10日遅くすることで初期の生育はやや遅れる。
・神郷地区は哲西地区に比べ初期の生育に遅れが見られる。

 収穫時調査

表−2 収穫時調査の状況(生草収量,乾物収量等) (s/10a)

・生草,乾物収量とも慣行の裁稙密度,追肥施用して栽培した1区が最も多かった。
・疎植にすることで一株当たりの収量は多くなりましたが,追肥した区で比較すると,10a当たりの収量は慣行の裁稙密度の区が多かった。しかしながら,その差はわずかで,育苗にかかる経費等を考慮すると疎植栽培の経営的なメリットを検討する必要があると思われます。
・移植時期が10日遅れると収量が低下する傾向にありました。
・神郷地域(標高約600m)でも「クサノホシ」の栽培が可能でしたが,哲西地区(標高約400m)に比べ移植の時期をやや早める等の対応が必要と思われます。
 今後,飼料イネをさらに普及するには,多収技術及び低コスト生産技術の確立が不可欠となり,畜産農家の生産するたい肥の活用や直播栽培等についても引き続き地域での実証が必要と思われます。

クサノホシの収穫 クサノホシ(左)とコシヒカリ(右)